道議会質疑 一般質問(3年9月17日)(道議会 2022-01-25付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼北口雄幸議員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼小玉俊宏副知事
▼倉本博史教育長
◆知事公邸の在り方
Q北口議員 施設の老朽化が著しい知事公邸、道警本部長宿舎、公館、その緑地などの在り方について、幅広い視点から検討するため、有識者によるあり方研究会が設置され、先般、その開催結果が報告された。
今後、道庁内では、この報告に基づき、方向性を議論することになると考えるが、研究会からの意見も踏まえ、よりオープンな形で意見を求めるべきと考えるが、所見を伺う。
また、この議論を進めていく上で、今後整理すべき課題は何ととらえ、いつまでに何をするのかなど、具体のスケジュールを示すべきと考える。知事の所見を伺う。
A鈴木知事 知事公邸等の在り方について。知事公邸等のあり方に関する研究会からは、知事公邸や知事公館、その他の施設ごとに様々な意見や今後の検討課題が示されるとともに、道民や民間事業者などの意見を伺いながら丁寧に検討を進めるよう助言をいただいており、今後検討を進める上で、広く意見を伺う機会は大変重要であると考えている。
また、知事公邸等が所在するエリアは、緑豊かで広大な憩いの場として利用されている道民の貴重な財産であることから、周辺環境を考慮しつつ、その将来像を見据え、次世代へ確実に引き継いでいく必要があるものと認識している。
今後、道としては、道議会はもとより、道民、事業者などの意見を伺いながら、公邸の在り方や、緑地環境の維持や保全などについて、関係部局が連携し、スケジュール等を含め、検討を進めていく。
Q北口議員 今後の公邸の在り方については、当然、知事在任中に、その方向性を示す必要があるものと考える。あらためて知事の考えを伺う。
A鈴木知事 知事公邸の在り方について。知事という職務の性格から、災害などの緊急時において迅速に対応する必要があるなど、公務を円滑に遂行するため、知事公邸は、行政上、必要な施設と考えている。
今後、知事公邸等のあり方に関する研究会から示された意見や課題を踏まえ、知事公邸のみならず、エリア全体の在り方について、道議会はもとより、道民など、幅広く意見を伺いながら、丁寧に検討を進めていく。
◆道・北東北縄文遺跡群
Q北口議員 北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録された。この価値と魅力を発信する新たなスタートに立ったが、地域の活性化や観光、ガイドの育成、教育、各種媒体を使った情報発信などに早期に取り組む必要があると考える。どのように展開されるのか、所見を伺う。
A鈴木知事 北海道・北東北の縄文遺跡群について。新型コロナウイルス感染症の影響によって、世界遺産登録後においても、当面、来訪者の大幅な増加を見込むことは難しい状況にあることから、まずは、国内外の多くの方々に関心を持っていただき、将来、訪れていただくための取組が重要と考えている。
このため、多言語で作成した動画を活用したPR活動など、魅力的なコンテンツを効果的に発信するほか、遺跡の価値と魅力を伝えるガイドを養成するため、新たに統一的な研修教材の作成などを行っている。
また、先月には、遺跡群の保存と活用に関する情報共有や課題解決を図るため、道や関係市町などを構成員とする道縄文世界遺産保存活用推進協議会を設け、具体的な議論を進めることとした。
今後とも、北東北3県はもとより、関係自治体や地域で活動されている方々と緊密に連携しながら、遺跡群を起点とした観光振興や地域経済の活性化の好循環に結び付くよう、積極的に取り組んでいく。
◆コロナ長期化
Q北口議員 デルタ株による子どもへの感染リスクの高まりを踏まえ、学校など教育現場と家庭、地域が連携した対策を行う必要があるが、それぞれがデルタ株の感染力の強さを再認識し、継続的に危機感を共有すべきと考える。
コロナ禍の長期化が心身に及ぼす影響と子どもが発するSOSを見逃さないようにするため、どのような対策を図っているのか、知事、教育長に伺う。
A小玉副知事 新型コロナウイルス感染症対策に関し、長期化の影響などについて。変異株の感染拡大によって、若年層の感染が増えており、学校や幼稚園、保育所などでも集団感染が発生し、学級閉鎖や全面休園となる事例も生じている。
また、家庭内で過ごす時間が増加するなど、生活環境が変化することによって、親子が共に不安やストレスを感じたり、周囲が子どものSOSに気づきにくくなることが懸念されている。
このため、児童生徒や子育て家庭の相談窓口である道子ども相談支援センターや子育て世代包括支援センターなどの利用促進、道の児童相談所による市町村要保護児童対策地域協議会を中心とする児童虐待防止対策への支援などに取り組んでいる。今後とも、学校や児童福祉施設などにおける感染防止の徹底と地域の見守り体制の両立に万全を期する。
A倉本教育長 コロナ禍における児童生徒への影響等について。変異株への置き換わりが進む中、学校をはじめとした関係機関などが児童生徒の感染拡大への強い危機感を共有しながら、感染症対策はもとより、様々な不安やストレスを抱えている児童生徒の心のケアに適切に対応することが重要であると認識している。
このため、道教委としては、学級担任や養護教諭らが家庭と連携しながらきめ細かな健康観察や健康相談を実施し、学校全体で児童生徒の状況を的確に把握するとともに、スクールカウンセラー等による支援を行うなど、心のケアに適切に取り組むほか、電話やメールによって24時間相談できる子ども相談支援センターやSNS相談窓口の活用を促進しながら、相談内容に応じて関係機関と連携した支援につなげるなど、今後とも、道内の児童生徒一人ひとりの心身の状況に応じたきめ細かな教育活動が各学校において展開されるよう努めていく。
Q北口議員 知事は、子どもが発するSOSや変化を見逃さないようにするために、より積極的な対策を図る必要があると考える。所見を伺うとともに、コロナ禍ではあるが、支援センターや地域の見守りにどのような課題等があるのか、自ら現地に出向き、関係者と意見交換する必要があると考えるが、知事の所見を伺う。
A鈴木知事 感染症対策の長期化の影響などについて。感染拡大に伴い、子育て中の親と子が共に不安やストレスを感じたり、周囲が子どもの変化の兆候を見つけにくくなることも懸念されるため、気づきと心のケアなど、それぞれの状況に寄り添った支援が重要である。
このため、保育所や地域子育て支援拠点などの様々な地域ネットワークを総動員し、支援ニーズの高い子どもを定期的に見守る体制を確保することが求められる。
道では、支援の中核となる市町村に対し、関係機関による一層の緊密な連携について、文書での周知徹底を図るとともに、児童相談所職員が直接、市町村に出向き、専門的な支援を行っている。
道としては、今後とも、放課後児童クラブや子ども食堂などを含めた現場からの意見も伺いながら、地域ぐるみで本道の子どもたちが安全・安心に成長できる環境づくりを進めていく。
Q北口議員 生徒と向き合う教員の職場環境を改善した上で、いま一度、子どもが発するSOSや変化を見逃さないようにするために、どのように積極的な対策を図られるのか伺う。
A倉本教育長 コロナ禍における子どもたちへの影響について。道教委としては、学校へのスクールカウンセラーの派遣や、教員が学習指導や健康観察を含めた保健指導等の業務に専念できるよう、学習指導員やスクール・サポート・スタッフの配置に取り組むなどして、教員が心にゆとりを持って子どもたち一人ひとりと向き合い、子どもたちのSOSを見逃さず、心身の健康相談の充実を図ることができるよう取り組んでいく。
◆検査体制の充実
Q北口議員 次代の北海道を担う子どもたちの命と健康を守る知事として、児童生徒への検査体制の充実を図るべきと考える。知事の所見、対応について具体的に伺う。
A鈴木知事 コロナ禍における教育活動について。修学旅行などの学校行事や部活動は、より良い人間関係の構築や目標を持って自己実現を図ろうとする意欲や態度を養う上で重要な役割を果たす教育活動であると認識している。
道教委においては、感染拡大のリスクを可能な限り低減するため、修学旅行や部活動の遠征先等において抗原検査キットが効果的に活用されるよう、使用に関する相談に対応するなどして支援しているものと承知している。
私としては、児童生徒の安全・安心を第一としながら教育活動を継続していくことが重要と考え、国が実施するPCRモニタリング検査の有効活用を各学校に働きかけるほか、全国知事会などと連携して、学校における抗原検査キットの早期配布をはじめ、全国大会に参加する児童生徒に対するPCR検査の財政措置など、感染症対策の充実や強化を国の責任において実施するよう求めている。
次の世代を担う児童生徒の命と健康を守るため、引き続き、関係機関と緊密に連携を図り、教育活動における対策強化に取り組むほか、国に対する要望の実現に向けて強く働きかけるなどしながら、安全・安心な教育環境の充実に全力で取り組んでいく。
Q北口議員 デルタ株に置き換わった今、感染拡大が一番危惧される学校等に対して万全の措置を講じなければならない。部活動や学校行事などを実施するためには、感染の疑いがある児童生徒に対しての検査ではなく、症状のない児童生徒への検査の拡大が必須である。
国に財政支援を求めているとの答弁だが、学校現場でいまだクラスターが発生している状況を鑑みれば、国が措置するまでの間は道自らの対策を早急に打つべきだ。
再度、知事、教育長に所見を伺う。
A鈴木知事 コロナ禍における教育活動について。引き続き、関係機関と連携し、学校における感染拡大と集団感染の防止を徹底するとともに、国に対する要望の早期実現に向けて機会あるごとに強く働きかけるほか、地域や企業などの様々な協力もいただきながら、子どもたちの命と学びを守れるよう力を尽くしていく。
A倉本教育長 新型コロナウイルス感染症への対応について。道教委では、国が実施するPCRモニタリング検査や各学校に配布された抗原簡易キットの有効活用を働きかけるほか、PCR検査の財政措置など、感染症対策の徹底について国に要望している。引き続き、その実現やモニタリング検査等の拡充について、知事部局と連携し、国に強く働きかけ、児童生徒の命と健康、学びを守る環境の整備に努めていく。
◆学びの保障
Q北口議員 デルタ株への置き換わりが進み、児童生徒への感染拡大が懸念されている中で発出された通知では、学校における新しい生活様式の実践に向けたきめ細かな指導助言に終始している。
学びを保障するための指導助言はもちろん大切だが、行事や部活動も、児童生徒が充実した学校生活を送るための重要な教育活動である。
緊急事態宣言下での実施は当然避けながらも、修学旅行や全道大会等への参加には、前後数日間ずつPCR検査を実施するなど、道教委として安全・安心な教育環境を整備すべきと考える。教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 コロナ禍における安全・安心な教育環境の整備について。国立感染症研究所実地疫学研究センターでは、学校生活や部活動等において講ずべき対策として、日々の体調の把握や行動管理への注意を基本とした活動を行う。
一方で、遠征等が必要な場合には抗原検査あるいはPCR検査を受けることなどが提案されている。
道教委では、学校行事や部活動をはじめとする教育活動において、衛生管理マニュアルに基づき、地域の感染レベルに応じた対策の徹底を基本としつつ、国が実施するPCRモニタリング検査や各学校に配布された抗原簡易キットの有効活用を働きかけるほか、スポーツ関係団体や知事部局等による連携会議等を通じて、大会の安全な開催に向けた対策の強化に連携して取り組むとともに、PCR検査の財政措置など、感染症対策の徹底について国に要望している。引き続き、その実現やモニタリング検査等の拡充について国に強く働きかけるとともに、各学校が授業や部活動、各種学校行事等の教育活動を継続し、子どもたちの健やかな学びを保障していけるよう、環境の整備に努めていく。
Q北口議員 緊急事態宣言発令に伴う授業の在り方については、学級、学年、学校の臨時休業を幅広く実施し、その間はオンライン学習を実施することとしているが、家庭間のオンライン環境の差が教育格差につながる懸念がある。
道教委は、端末やモバイルルーターを貸与しているとのことだが、通信費は各家庭持ちで、長期化すれば負担が大きくなり、オンライン授業に参加できない生徒も出てくる。
データ量が多い双方向のオンライン授業を公教育に取り入れるのであれば、誰もが経費を負担することなくオンライン授業に参加できる環境をつくらなければならないと考える。知事、教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 学びの保障について。各学校においては、地域の感染状況を把握しながら感染症対策の実効性の確保を図るとともに、臨時休業や出席停止などによって、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対し、クラウドサービス等を活用した双方向のコミュニケーションによって、健康観察をはじめ、学習課題や授業動画などの配信、オンライン学習の実施を進めていると承知している。
私としては、教育の機会均等と教育水準の維持向上を実現するためには、各家庭におけるICT環境が十分に整うことが重要であると考えており、高校生等奨学給付金を通じ、オンライン学習の通信費相当分を支給するとともに、全国知事会や道教委とも連携して、必要な財源措置について国へ要望している。コロナ禍においても児童生徒の学びを止めないよう、要望の実現に向けて取り組んでいく考え。
A倉本教育長 臨時休業等における学びの保障について。道教委では、感染症対策として、児童生徒がやむを得ず学校に登校できない場合は、オンライン学習などによって学びを止めない取組を行うよう、市町村教委および学校に求めている。
オンライン学習を実施するに当たっては、必要に応じて、学校が所有する端末等の貸し出しを行うほか、通信費については、高校生等奨学給付金制度などを通じ、オンライン学習の通信費相当分を支給し、家庭における負担軽減に努めるとともに、民間企業との連携によって通信機器を貸し出す仕組みを構築しており、こうした取組の効果的な活用を検討している。
道教委としては、引き続き、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、オンライン学習に必要な財源支援策について国に要望するとともに、児童生徒の学びを保障する多様な対策を講じながら学習環境の充実に取り組んでいく。
Q北口議員 現在進められているオンライン授業の授業時数は、標準授業時数としてカウントされないことが児童生徒の大きな負担となっている。オンライン授業の取扱いに対する認識を伺う。
A倉本教育長 オンライン学習について。国では、感染症や災害の発生等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対してオンラインを活用した教育を実施した場合、授業時数として取り扱わないものの、特例の授業として認めるよう定めており、やむを得ず標準授業時数を下回った場合でも法令に違反しないこととされている。
道教委としては、オンライン学習の実施に当たり、学習指導要領に基づく内容を定着できるよう指導し、その成果が十分な場合は、児童生徒に対する負担軽減を配慮して、当該内容を、再度、対面授業で取り扱わないこととし、登校再開後の新たな学習に円滑に接続させることが大切と考えており、オンライン学習の効果的な事例の一層の普及に取り組むとともに、義務教育指導監や指導主事の学校訪問等による教育課程における授業時数の扱いを含めたきめ細かな指導助言を行い、安全・安心な環境の中で児童生徒一人ひとりの健やかな学びの保障に努めていく。
P北口議員 知事、教育長はコロナ禍においても、オンライン学習等によって、学びを止めない教育の推進は重要であると答弁された。であるならば、通信料が負担できないので、学ぶことができない、ギガ数が足りないので、双方向のオンライン授業には参加できないという児童生徒を出してはならないはずだ。
給付型奨学金や民間企業との連携等によって道立学校の生徒への対応は可能だが、私立学校の生徒や市町村立学校の児童生徒が誰一人取り残されることがないよう強く指摘する。
◆教育職員の時間外勤務
Q北口議員 道教委が公表している、道立学校の教育職員にかかる時間外在校等時間の調査結果でさえも、多くの高校教員が上限時間を超えており、違法な勤務実態が常態化している。この解決には、一人当たりの持ち授業時間数の削減と大幅な業務削減が必要であり、その大きな柱が部活動改革である。
文部科学省は、5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこととするとし、道教委も、アクションプランの中で、総合型地域スポーツクラブ等との積極的な連携を掲げているが、全道に80程度しか設置されていない総合型地域スポーツクラブの現状を踏まえれば、どのように部活動を地域移行していくのか。所見を伺う。
A倉本教育長 教職員の超勤・多忙化解消について。中学校や高校等における部活動は、教職員の長時間勤務の主要な要因の一つとなっており、国では、一昨年9月に、5年度から段階的に休日の部活動を地域に移行する方向性を示した。
道教委では、競技団体や文化団体、各地の総合型地域スポーツクラブなどに協力を依頼するとともに、各団体の会議や研修の場などに出向き、積極的に情報提供を行うほか、3年度から、国の委託を受け、道内の3つの市町において、地域の実情に応じて、民間の運営団体や市町村による休日の地域部活動の実践研究を行っている。
今後は、こうした実践研究を進め、成果や課題を整理するとともに、他県の取組事例についても情報を収集し、普及するなどしながら、各市町村や関係団体との連携のもと、より多くの方々の参画を得ながら、部活動の地域移行が広がっていくよう、準備の整った地域から速やかに取組を始め、成果の検証と改善に鋭意取り組んでいく。
Q北口議員 全国に先駆け、北海道が5年度から休日の部活動の完全地域移行をスタートできれば、教職員の担い手不足を解消する大きなアドバンテージとなるのは間違いない。
少なくとも、いつまでに地域移行を進めるなど、具体のスケジュールを示すべきと考えるが、再度、教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 教職員の超勤・多忙化解消について。国が一昨年9月に示した休日の部活動を地域に移行する方向性については、持続可能な子どもたちの文化・スポーツ活動と教師の負担軽減を実現する上で、大変重要であると認識している。
道教委としては、各市町村や関係団体との連携のもと、より多くの方々の参画を得ながら、部活動の地域移行が広がっていくよう、準備の整った地域から実施する必要があると考えており、道内外の取組事例を普及するなどして、多くの地域で導入が進むよう、鋭意取り組んでいく。
◆ヤングケアラー
Q北口議員 今定例会においてヤングケアラーの調査結果が報告された。
調査については評価できるものの、ヤングケアラーの支援に向けた国のプロジェクトチームの報告にもあるように、必要な支援策の推進が早急に求められている。
道教委は、子どもが家庭環境などに関わる気づきや悩みを相談できる校内体制の整備を進めるとしているが、ヤングケアラーの専門家は、子どもたちがスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーへ相談することはハードルが高いと指摘している。
児童生徒たちが現在配布されているタブレット等で安心して相談できる体制を構築すべきと考えるが、知事、教育長の所見を伺う。
また、明らかになった課題に対しては、早急な対応が必要だ。支援策も含めて、どう取り組んでいくのか、併せて伺う。
A鈴木知事 ヤングケアラーへの支援について。先般、道が道教委と連携して実施した実態調査では、多くの生徒や学校側のヤングケアラーへの理解度が低いことや、家族の世話をしている子どもたちの多くが、勉強時間や自由な時間を確保できないなどの悩みを抱えながらも、自身にその自覚がなく、誰にも相談した経験がないことなどの現状が明らかになった。
あらためて、ヤングケアラーに対する道民全体の認知度を向上させるとともに、それぞれの事情に即した支援に取り組むことが必要と考えている。
道としては、ヤングケアラーの早期発見や適切な支援につなげていくため、スクールカウンセラーをはじめ、支援の窓口となる人材の資質向上や子どもの居場所を活用した学習支援などの取組を進めるとともに、今後、ケアラー支援のための条例について、年度内の制定に向けた作業を進めるほか、国の動きとも連動し、実効性のある支援策を検討するなどして、全てのケアラーとその家族を社会全体で支え、誰もが希望を持って生活を送ることができるよう取り組んでいく。
A倉本教育長 ヤングケアラーへの支援について。先般実施した調査からは、家庭で勉強する時間や自由に過ごす時間を確保できない悩みを相談できずにいる状況がうかがえるなど、ヤングケアラーはその存在が表面化しにくいことから、児童生徒が相談しやすい体制を確立し、適切な支援につなげることが重要である。
このため、道教委では、現在、学校へのスクールカウンセラー派遣はもとより、電話相談、メール、SNSを活用した相談窓口などを通して家庭での悩みに関する相談にも対応しており、今後も、自宅や学校の端末からアクセスできる相談窓口を周知し、ヤングケアラーに関する悩みなどの具体例を示し、相談を促すなどして、相談機会の確保を図っていく。
また、関係部局とともに、この調査を踏まえて、課題等をあらためて整理し、関係部局との連携会議などを活用して、地域における教育、福祉、介護、医療などが連携したヤングケアラーへの支援策を講じていく。
Q北口議員 知事は、ケアラー支援のための条例制定に向けて、年度内に作業を進めると答弁されたが、今、相談できずに支援を求めているヤングケアラーに対しての相談受付体制の充実は当然として、相談後の確実な支援につながるための具体の対策が急がれる。再度、知事の所見を伺う。
また、教育長からは、自宅や学校の端末からアクセスできる相談窓口を周知しているとの答弁があったが、私立学校の生徒等へは周知されていない。早急な改善を指摘する。
A鈴木知事 ヤングケアラー支援にかかる今後の取組について。道では、先日の調査結果の分析や有識者会議での議論を踏まえ、今後、実効性ある施策を検討していくこととしているが、ヤングケアラーの多くが、自らの状況を相談した経験がないということから、子どもたちの声を聞き、必要な支援に結びつけていくためにも、まずは関係者が現状を理解することが大変重要である。
道としては、条例の制定を通じ、ケアラーを支える意識を醸成するとともに、在宅介護支援センターや障がい者相談事業所などに対し、先般の実態調査の結果や有識者会議の議論の経過のほか、実際に支援に結びついた好事例を情報提供するなどして、悩みを抱える子どもたちへの具体の支援に結びつけることができるよう、実施可能なものから早急に取組を進めていく。
(道議会 2022-01-25付)
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