道議会質疑 一般質問(3年9月27日)
(道議会 2022-01-28付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼星克明議員(自民党・道民会議)

▼志賀谷隆議員(公明党)

▼村田光成議員(自民党・道民会議)

▼渕上綾子議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼倉本博史教育長

▼石塚正寛選挙管理委員会委員長

◆ICT活用

Q星議員 新学習指導要領が小学校に続いて、3年度から中学校でも全面実施されている。

 新学習指導要領では、必要な情報や情報手段を主体的に選択し、活用できる情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力として位置づけ、その育成を図るため、学校のICT環境を整備し、適切に活用して学習活動を充実することとしている。

 本道でも、小・中学校の1人1台端末が整備されたことから、学習活動に本格的に取り入れていく必要があり、各学校には着実な取組が求められている。

 道教委では、道内のこれまでの取組状況や課題をどのように認識し、今後どう取組を支援していく考えなのか。

A倉本教育長 小・中学校におけるICTの活用について。これから求められる学校教育の推進に当たっては、ICTの効果的な活用を含め、全ての子どもたちの個性と可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを充実させることが重要。

 道内の学校では、例えば、端末の録画機能を活用して実験結果などをより深く分析・考察したり、端末を活用して意見を交流し合い、思考を深めたりするなどの取組が行われている一方で、一部の学校では、ICTを活用した指導経験の差や校内研修が必ずしも十分ではないといった課題がみられる。

 また、4年度から道立高校での1人1台端末の本格的な活用が順次スタートすることから、小・中・高校などが目指す授業像を共有しながら、児童生徒の情報活用能力に応じて指導を行っていくことが重要である。

 このため、道教委ではICTを活用した授業モデルなどを示すほか、授業実践に関する学校種を横断した交流機会を確保するとともに、義務教育指導監、指導主事による学校訪問等を通じて各学校でその成果を生かした実践を展開し、児童生徒の学びの質を高めることにつなげることができるよう取組を加速していく。

Q星議員 3年8月公表の文部科学省の端末利活用状況等の実態調査によると、全国の小学校の96・1%、中学校の96・5%でICTの利活用が開始されている。一方で、1人1台端末を活用した授業がなかなか進んでいないという状況も見受けられる。

 こうした中、ICT機器の準備や操作支援など、ICTを活用した授業支援を行うICT支援員について、3年8月、学校教育法施行規則が改正され、情報通信技術支援員と規定された。しかし、その配置については、従前同様に4校に1人を目標とされている。

 1人1台端末を活用した授業を進めていくため、教員のICT活用指導力を向上させることはもちろん、専門的なスキルを持ったICT支援員の有用性と早急な体制の充実について、教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 ICT支援員の配置等について。各学校がICTを効果的に活用して主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組んでいくためには、教員の指導力向上はもとより、ICTに関して幅広い知識等を有するICT支援員など、外部人材を効果的に活用し、教員のICT活用に関する日常的な支援や児童生徒への技術的な支援ができる体制を整備していくことが大切である。

 このため、道教委では、ICT支援員が行う授業計画の作成支援や、ICT機器の準備、操作支援など、効果的なサポート事例を示して、その有用性を広く周知するとともに、ICT支援員として必要なキャリアなど、採用に当たって参考となる情報を提供するほか、人材確保に関する相談に対応するなどして、市町村教委に対し、ICT支援員の一層の配置を促し、学校におけるICT環境の充実が図られるよう取り組んでいく。

◆児童虐待

Q志賀谷議員 先般、公表された全国の児童相談所における2年度の児童虐待対応件数は、初めて20万件を超え、過去最多となった。道内についても、前年度から140件程度減少したものの、6200件を超え、このうち、札幌市は約2600件で過去最多となるなど、道内でも地域差がみられる。

 児童虐待相談に的確に対応していくためには、児童相談所の体制整備が必要不可欠であり、国では、4年度までを計画期間として、児童相談所の体制強化に向けたプランを策定し、さらに、児童福祉司等の増員については一部前倒しして、3年度中の達成を求めているが、道として、児童相談所職員の人材確保、育成にどのように取り組んでいくのか。

A鈴木知事 児童相談所の人材確保などについて。道では、これまでも、国のプランに基づき児童福祉司等を計画的に増員してきたが、国が掲げる増員目標の達成時期を3年度末に前倒ししたことから、全国的に専門人材の確保が課題となっている。

 こうした中、道では、専門職の採用試験の回数を増やすとともに、児童福祉分野に関心のある学生のインターンシップの受け入れや関係団体を通じた社会福祉士などの有資格者への試験案内のほか、職員による大学や専門学校への訪問活動を展開するなど、必要な専門人材の確保に精力的に取り組んでいる。

 また、昨今、複雑かつ困難な虐待事案に対応していくため、業務経験に応じた研修カリキュラムの充実に努めるとともに、児童福祉の現場経験者をスーパーバイザーとして採用し、専門的・技術的助言を通じ、資質の向上を図るなどして国の目標を達成し、本道の児童虐待防止対策に万全を期していく。

◆道・北東北縄文遺跡群

Q志賀谷議員 3年7月27日、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録が実現した。今後、世界に認められた縄文遺跡群の価値を積極的に活用し、地域のにぎわいを創出していくことが重要と考える。道はどのように取り組む考えなのか伺う。

A鈴木知事 縄文世界文化遺産について。新型コロナウイルス感染症の影響によって、当面、来訪者の大幅な増加を見込むことは難しい状況にあることから、まずは、国内外の多くの方々の遺跡群への関心を高め、将来、訪れていただくための布石となる取組が重要と考えている。

 このため、多言語で作成した動画などによって魅力的なコンテンツを効果的に発信するほか、来訪者に縄文文化の価値や魅力を伝えるガイドを養成するため、新たに統一的な研修教材の作成などを行っている。

 また、3年8月には、道や関係市町などを構成員とする道縄文世界遺産保存活用推進協議会を設置し、遺跡群の保存と活用に関する情報共有や課題解決を図るための具体的な議論を進めることとした。

 今後とも、北東北3県はもとより、関係自治体や地域で活動されている皆さんと緊密に連携しながら、保存と活用の担い手づくりに努めるほか、各遺跡の整備計画等に基づく施設整備や展示内容の充実などを図り、遺跡群を起点とした観光振興や地域経済の活性化の好循環に結び付くよう積極的に取り組んでいく。

◆子どもの貧困

Q志賀谷議員 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分に満たない所得の家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合は、平成30年の時点で13・5%にのぼり、約7人に1人が貧困状態との結果となっている。本道でも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって経済的な影響を受けた家庭も多いと考えられ、こうした状況は悪化しているのではないか。

 このような中、貧困によって教育格差が生じることのないよう、子どもたちの健康と学びを守っていくことが必要だ。本道における子どもの貧困対策をどのように進めていくのか伺う。

A倉本教育長 子どもの貧困対策などについて。道教委では、これまでも、低所得者世帯の高校生に対する奨学給付金などの各種支援制度の周知や、学校と福祉機関などをつなぎ、児童生徒の環境の改善充実を図るスクールソーシャルワーカーの配置の充実を図るとともに、放課後子ども教室や子ども未来塾など、子どもの居場所づくりや地域の学習支援を行う自治体等を支援してきた。

 各家庭の経済状況に左右されることなく、等しく教育を受けることができる環境を整備することは、全ての子どもたちの可能性を引き出す上で大変に重要と考えている。今後も、教育、保健福祉、その他の支援団体などによって、全ての振興局において設置している地域ネットワーク会議を活用しながら、子どもの貧困の効果的な支援方策や子どもの居場所等に関する好事例を普及していくほか、各種支援制度の一層の利用促進や、子どもたちの不安・悩みに寄り添える相談体制の充実を図ることによって、誰一人取り残されることなく、安心して学習に打ち込める教育環境づくりに取り組んでいく。

◆コロナ禍 部活動の影響

Q村田議員 本道の子どもたちの体力向上や人間形成という視点からも、部活動は授業と同等の価値のある活動として捉えることができ、部活動についての統一的な考え方や感染防止対策などについての方針を早急に示すことが必要と考える。

 道として、コロナ禍における部活動の影響をどのように認識しているのか、今後の取組について伺う。

A倉本教育長 コロナ禍における部活動への影響などについて。部活動は、異なる年齢の人たちとの交流の中で人間関係の構築を図り、自己肯定感を高めるなど、その教育的意義が高く、また、各種大会やコンクールなどは、日ごろの練習等の成果を発揮する貴重な機会である。

 道内の感染状況に応じて、活動内容の厳選や感染リスクの高い活動の休止、大会等への参加の制限などの感染防止対策を講じている中、児童生徒の間には、十分な活動ができないことなどによる意欲の低下やストレスの高まりなど、様々な影響があるものと認識している。

 このため、道教委としては、新たに設置したスポーツ関係団体などで構成をする連携会議や、部活動顧問を対象とした研修会を通じて、感染症の専門家の助言等を得て作成した具体的な対応強化策をあらためて周知するとともに、大会等における感染症対策の実施状況を確認し、必要な改善を求めることなどを通して感染症対策と部活動の両立を図り、生徒が安心して日々の活動や大会等に参加することができる環境づくりに努めていく。

◆若年層の投票率向上

Q渕上議員 総務省によると、20歳代、30歳代の若年層の投票率は30%から40%台で、ほかの年齢層に比べて低い。投票に行かない理由をみると、投票しても何も変わらない、友達との話題にしにくい、コンテンツに魅力がない、若者が選挙への関心が薄いのではなく、選挙が若者に向いていないというような意見があった。

 若年層の投票率が低ければ、その世代への政策が手薄になる懸念がある。少子化で若年層がマイノリティーなので、投票しても変わらないと諦めては、さらに悪循環になる。

 若年層の投票行動につながる選挙の魅力向上についてどのように取り組むか伺う。

A石塚選挙管理委員会委員長 若年層の投票率向上への取組について。道選管では、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた平成27年から、高校生や大学生など若年層を対象に、選挙の仕組みや投票参加の意義を深めてもらう出前講座や、選挙を題材にした漫画コンクールなど、若年層への啓発事業に積極的に取り組んできた。

 しかし、最近の国政選挙においても、10代から30代の若年層の投票率は、他の世代と比べて、依然として低い状況にある。

 こうしたことを踏まえ、近く執行される衆議院選挙においては、これまで以上に若年層に重点を置き、インターネットやSNSを幅広く活用した啓発事業に取り組むほか、新たに参加型の啓発も取り入れ、選挙をテーマに若者が語り合うオンライントークイベントなどを企画している。

 道選管としては、これまで実施してきた出前講座や漫画コンクール事業をさらに充実させるとともに、選挙時は時代に合った啓発を工夫するなど、引き続き投票率向上に努めていく。

(道議会 2022-01-28付)

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