【解説】母子世帯支援の制度設計を
(解説 2022-02-09付)

 国立教育政策研究所は、『高校生の高等教育進学動向に関する調査研究第一次報告書』をまとめた。

 2年度から始まった高等教育の修学支援新制度の効果を検証するとともに、中間所得層の家計負担度などを分析し、継続的な実施を支える調査内容・方法を検討することが目的。

 両親の学歴と子どもの高校卒業後の進路を調べた結果、「両親のいずれかが4年生大学卒業」の家庭出身の子どもの77・3%が4年生大学を選択。「両親のいずれも4年生大学非卒業」では49・7%だった。また、親の学歴が高いほど早期に進学を決めていることが分かった。

 非進学希望者の状況をみると、年間収入400万円未満の世帯が4割以上。就職希望の理由は男子が「進学のための費用が高いから」、女子は「経済的に自立したい」の割合が高い。

 大学の専攻分野と家計所得との関係を調べた結果、最も年収の少ない世帯(550万円未満)より、最も年収の多い世帯(850万円以上)の方が文系よりも理系に進学する傾向が高い。理系は私立大学の学納金が高く、所得の少ない家庭が理系を忌避している可能性を挙げている。

 進学に迷う高校生に奨学金の進学促進効果を調べた結果、効果が最も大きいかったのは「学力中以上、年収低以上」のグループ、最も小さいのは「学力低、年収中以上」のグループとなった。

 母子世帯の授業料や生活費の調達手段をみると、奨学金、アルバイト、預貯金の取り崩しなど全てで「不可欠」とする割合が多い。授業料免除を申し込む母子世帯の割合が高い一方、申し込まなかった世帯もあり、理由は「タイミングを逃した」が多い。このため、支援を逃す人をカバーする制度設計の検討が必要としている。

(解説 2022-02-09付)

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