【解説】いじめ重大事態調査の課題
(解説 2022-02-22付)

 文部科学省が設置するいじめ防止対策協議会は、いじめの重大事態調査にかかるアンケート調査結果をまとめた。自治体からは調査の課題として、調査委員を含む人材の確保、調査の長期化・複雑化に耐え得る体制、児童生徒や保護者への対応が多く挙がり、協議会はこれらを踏まえ、取りまとめの議論を進める。

 調査は都道府県・政令指定都市67教委を対象にいじめの重大事態調査の現状を把握するため実施。21日の第4回会議で示した。

 調査のマニュアルやフロー図が存在する自治体は86%。重大事態調査開始の判断から調査委員会開催までの課題は「調査委員の選出」が最も多い。

 「いじめの防止等の基本的な方針」「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が学校現場に浸透していると回答した割合は64%。同ガイドラインに記載されていないため対応できなかった事象は「保護者の申し立てのみで対応する困難さ・過度な要求」「疑いの判断基準・チェック表等の必要性」など。

 調査実施に当たり加害児童生徒や職員への聴取方法やケアに関するマニュアルがある自治体は28%。

 調査報告の公表に関する規定を策定している自治体の割合は22%、策定予定の自治体は13%だった。

 ヒアリングや調査資料など調査内容の課題は「関係児童生徒・保護者の聞き取り調査の拒否や非協力」が最多。都道府県による市町村への支援は「相談があった場合の指導助言」が最も多く「調査委員の委員選定の際の職能団体の紹介」「知見のある職員の派遣」などの回答もあった。

 学校や学校設置者における体制・運用面の課題は「複数案件を実施する専門家の確保や事務局の体制整備」「事務量の多さ、長期化」のほか、財政的理由が多く挙がった。

(解説 2022-02-22付)

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