札幌市教委　4年度教育方針　各所管事項⑥　インクルーシブ加配新設等　特別支援教育全体の底上げを

（札幌市 2022-03-15付）

【教職員の人事・服務②】

▼個々の教育的ニーズに応じた特別支援学級等の体制―教職員担当部

▽特別支援学級の配置基準の見直し等

　特別支援学級の開設率の上昇や、特別な教育的支援を要する児童生徒数の増加は承知のとおり。

　通常の学級にも６・５％の割合で特別な教育的支援を要する児童生徒が在籍しているとの推計もあることから、今後も増加が見込まれる。

　一方、特別支援学校区分の教員採用検査の受検申込者は減少傾向にあり、人材は限られている状況。結果として、特別支援の免許を持っていない臨時的任用教員の割合が高くなり、専門性の担保にも課題を抱えている。

　さらに４月当初の特別支援学級急増への対応で臨時的任用教員の確保、配置が困難となり、結果として特別支援学級の定数欠や年度内の通常学級代替教諭などの未配置が発生する状況につながっている。

　このような状況を改善するため、４年度からは専門性を有する人材の効率的・効果的な配置による持続可能な体制を構築するとともに、児童生徒の実態に応じた教員配置や連続性のある多様な学びの場の一層の充実、インクルーシブ教育の推進など特別支援学級等の新たな体制を推進し、特別支援教育全体でのレベルアップを図っていく。

▽新たな体制における学校運営

　特別な教育的支援を要する児童生徒の増加が見込まれる中、子ども一人ひとりの教育的ニーズに寄り添った特別支援教育を推進するためには、特別支援学級だけでなく学校全体で取り組むことが重要。

　また、特別支援学級の教員だけでなく管理職や担任外教員、通常の学級担当教員など全ての教員が特別支援教育によって一層携わる意識を持つことも重要。市の特別支援教育を取り巻く状況や課題、それらを踏まえた今後の体制について、教育委員会としてもあらゆる方法で趣旨理解に努めているが、それぞれの管理職にも今一度理解いただき、校内の教職員のほか各家庭への丁寧な対応につなげていただくとともに、学校全体で特別支援教育に取り組むことの重要さを念頭に置き、学校運営・マネジメントを検討するようお願いする。

　特別支援教育を学校全体で取り組むためには、通常の学級と特別支援学級の連携が不可欠。

　現在も各学校において様々な取組、工夫されているが、より一層の連携強化・児童生徒に対する相互理解の促進に向け取組を推進するようお願いする。

　詳細はこれまでも動画配信や資料送付を行い、説明してきたが、今一度確認するようお願いする。

　取組の具体例について、今後はより多くの学校で取り組んでいただけるよう、インクルーシブ教育実践加配を新設し好事例を学校間で共有するなど、全市的な取組として推進していく。

　３年１月の中央教育審議会の答申「令和の日本型学校教育を目指して」において「障害のある子とない子がともに教育を受けられる条件整備等、個に応じた指導を一層重視する」こと、　また、その実現に向けて「初任から管理職まで、発達障害を含む特別支援教育に係る資質を教員育成指標に位置付けるとともに、その資質を育成するため、体系的な研修を実施する」ことが示されている。

　これらを踏まえ、全校種および通常の学級を含む全学級における特別支援教育の質の向上を目指すため、全ての教員育成指標に特別支援教育の項目を位置づけ、その指標に基づく研修計画を作成する。

　特別支援教育を受ける児童生徒が増加している現在においては、全ての教員に特別支援教育に関する基礎的知識や専門性が求められている。管理職においては、今後の市の教育を見据えた上で、新たな教員育成指標をもとに学校運営、人材育成に引き続き理解、協力をお願いする。

(札幌市 2022-03-15付)