留萌管内4年度教育推進の重点 学校改善など3項目 川村局長 関係者の関わり深めて
(道・道教委 2022-04-20付)

留萌教育局管内公立学校長会議川村秀明
川村秀明局長

 川村局長の説明概要はつぎのとおり。

【はじめに】

 前年度は「学校・家庭・地域社会が協働を深め、ふるさとの未来を担う子どもを育む取組の推進」をテーマに、子どもの健やかな成長に向けて家庭や地域から信頼される学校を基盤に皆さんが先頭に立って創意工夫ある教育活動を展開していただいた。

 とりわけ、今なお続く新型コロナウイルス感染症によって2年以上の長きにわたって経験のない教育活動を余儀なくされたが、皆さんの懸命な尽力によって子どもの学びが保障された。

 教育局では引き続き、中央教育審議会による令和の日本型学校教育の構築を目指す答申をはじめ、国の動向を今後とも注視するとともに、これまでの管内における取組の成果と課題を踏まえ、より実効性のある施策を展開するなど各学校の課題解決に向けて全力をあげて取り組む。

【教育推進テーマ】

 本年度のテーマは「学校・家庭・地域社会が協働し、ふるさとの未来を創る子どもを育む取組の推進」であり、前年度の「未来を担う」から「未来を創る」という1ヵ所を変更した。

 テーマについては例年、学習指導要領を踏まえるとともに、道教育推進計画に基本理念として掲げられている自立と共生、そして道教委の教育行政執行方針をもとに設定している。

 学習指導要領の前文ではこれから目指す社会は持続可能な社会と明確に示され、その中で持続可能な社会の創り手を育むことが求められており、今後、学校教育においては覚えたことだけを表現するような再現のための教育から自分で考え、自分で問題を解決する変容のための教育への転換が求められている。

 また、道教委では学校教育と社会教育を両輪に必要な資質・能力を育む教育行政の推進を4年度教育行政執行方針に掲げた。本道教育を担う学校等においては、これらの理念の具現化や基本姿勢に基づく教育活動を実践するとともに、各市町村が目指す地域創生と方向性を同じくして学校、家庭、地域社会が一層協働を図り、予測困難なこれからの未来を持続可能で明るく豊かな未来へと自分の力で創っていける子どもを育んでいく必要がある。

 このため、4年度の管内教育推進のテーマを「学校・家庭・地域社会が協働し、ふるさとの未来を創る子どもを育む取組の推進」とした。

 【留萌発】留萌教育局の川村秀明局長は13日、留萌合同庁舎で開かれた管内公立学校長会議において本年度の管内教育推進の重点を説明した。重点的に取り組む項目として「持続可能な社会の創り手の育成」「予測困難な時代を生き抜く学校改善の推進」「家庭・地域と連携した学校や多様な価値観を認め支え合う社会の実現」の3つの柱を提示。児童生徒の健やかな成長に向け、学校や家庭、地域社会、行政といった教育に携わる人が関わりをより深める重要性を強調した。

新時代の学びへ環境整備

【教育推進の重点】

 本年度は、重点施策を推進していただく前提となる感染症対策の徹底などを冒頭に掲げた。

 新型コロナウイルスが子どもの学びに影響を与える中、感染拡大防止対策に取り組みつつ、予測困難な時代においてこれからを生きる子どもが社会の変化に主体的に向き合いながら自ら課題を見つけ、解決し、生涯を通じて学び続ける意欲を持てるよう、新しい時代の学びの実現に向けた環境整備が求められている。

 こうしたことから、これらを確実に実施しながら、重点的に取り組む項目として3本柱を示したので柱ごとに説明する。

▼柱1 持続可能な社会の創り手の育成

▽社会で生きる「知」の育成

 当管内においてはコロナ禍によって今までに経験のない対応が求められる中、子どもの学びの保障に向けては「年間指導計画の見直し」「放課後の補充学習の実施」「ICTを活用した授業改善や家庭学習の実施」など、各地域の状況に合わせた創意工夫ある取組を、また特別な支援を必要とする子どもへの対応については関係機関等と連携した個別の教育支援計画の作成といったきめ細かな支援の充実に向けた取組が着実に進められている。

 今後はこれらの成果を踏まえ「新学習指導要領の着実な実施による主体的・対話的で深い学びの確実な実現に向けた授業改善」「1人1台端末を積極的に活用した授業改善の推進」「歴史や文化を学ぶふるさと教育やコミュニケーション能力を重視した英語教育の充実」「幼児期から学校間および関係機関等との連携を強化した特別な教育的支援」などが求められる。

 こうしたことから「個に応じた指導とともに、集団の中で個が埋没してしまうことがないよう個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させ、全ての子どもの可能性を引き出す授業改善の推進」「新たなICT環境による学習の基盤となる資質・能力の確実な育成」「英語教育のほかアイヌの人達や、北方領土、各地域の歴史・文化等を学ぶふるさと教育といったこれからの時代に求められる課題への対応」「個別の教育支援計画等の作成および活用による幼児期から就労までの切れ目のない一貫した指導や支援」に努めるようお願いする。

▽自律を育てる「徳」の育成

 当管内においては「生徒指導の3つの機能を生かした望ましい人間関係を築く教育実践」「積極的にいじめを認知し公表する組織的な対応」「不登校児童生徒へのきめ細やかな支援」など、子どもが安全・安心に学校生活を送ることができる学校づくりが着実に進めてられている。

 今後はこれらの成果を踏まえ「コロナ禍で不安を抱える中であっても、子どもが互いに気持ちを認め合い、互いに表現できる教育活動の一層の充実」「いじめや不登校への関係機関等と連携した組織的・計画的な支援」「近年増加している児童虐待における関係機関との迅速な連携」「生命を大切にする心や思いやりの心など豊かな心を育むための道徳教育の一層の充実」などが求められる。

 こうしたことから、「自己存在感、共感的な人間関係、自己決定の3つの機能を生かした指導の充実」「いじめや不登校等の未然防止、早期発見・早期対応の推進」「道徳教育を中心とする自己肯定感を高めるための取組の推進」に努めるようお願いする。

▽健やかに育つ「体」の育成

 当管内においては「全ての学校が新体力テストに積極的に取り組み、体力の状況を捉え改善方策を検討する検証改善サイクルの確立」「子どもが主体的に体力向上に取り組めるよう各学校が創意工夫を凝らした1校1実践の取組」などそれぞれの環境や課題に応じて効果的な取組を着実に進められている。

 今後はこれらの成果を踏まえ「運動が苦手な子ども一人ひとりに応じた指導の充実」「学校外においても子どもが運動に慣れ親しむことのできる環境づくり」などが求められる。

 こうしたことから「体育、保健体育や休み時間、場を活用した体力向上の取組の推進」「学校、家庭、地域が一体となった子どもの運動機会の設定」に努めていただくようお願いする。

 以上、1つ目の柱に関して説明した。教育局では「主体的・対話的で深い学びの実現に向けて授業改善の視点についての指導助言」「4年度学力向上ロードマップおよび学力向上ヒアリングを踏まえ、組織力強化会議により管内全体で検証改善サイクルの取組を推進」「ICTを活用した個別最適な学びや協働的な学びの充実のほか、高校のBYODの推進」「ネットパトロール講習会、各種研修会等において事例研究を取り入れるなど内容の改善」「高校生が運営するどさんこ☆子ども地区会議による児童生徒のいじめ問題に対する主体的な取組の推進」「体育の授業改善および体力向上の一層の充実に向けて1校1実践等、運動機会の設定の推進やエキスパート教員を活用した研修会の実施」などに努めていく。

▼柱2 予測困難な時代を生き抜く学校改善の推進

▽包括的な学校改善の推進

 当管内においては「目指す子どもの姿を明確にしたグランドデザインの公表による学校経営方針の家庭・地域への浸透」「小・中学校合同での研修の実施」「9年間を見通した学習規律の設定」「コミュニティ・スクールによる学校と地域が一体となった学校運営、業務の見直し」「教職員にかかる時間外在校等時間の公表」が着実に進められている。

 また、教職員の不祥事根絶に向けては校内で不祥事防止のための意識共有を図る場を設定するなど、各学校で指導を徹底している。

 今後は、これらの成果を踏まえ「幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図る取組の充実」「義務教育段階で身に付けた資質・能力を高校の学びにつなげる取組の推進」「教職員の学校運営への参画意識や当事者意識の向上による学校改善の推進」「各学校の実態を踏まえた働き方改革の一層の推進」「教職員の法令遵守の徹底およびメンタルヘルスへの対応」などが求められる。

 こうしたことから「幼小中高の円滑な接続に向けた取組の推進」「全ての教職員が当事者意識をもったカリキュラム・マネジメントの推進」「Roadを活用した働き方改革の推進」「教職員の服務規律および法令順守の徹底、ハラスメントの排除やメンタルヘルス対策」に努めるようお願いする。

▽学校安全教育の充実

 当管内においては「1日防災学校といった地域の実態に応じた避難訓練の実施」「通学路の安全マップを活用した交通安全教育の充実」など学校安全教育に関する取組が着実に進められている。

 今後はこれらの成果を踏まえ「あらゆる災害を想定した防災教育の充実」「実効性のある危機管理マニュアルに基づく学校安全体制の確立」「地域や関係機関等との連携による交通安全の徹底」などが求められることから、防災教育、防犯教育、交通安全教育の充実に努めるようお願いする。

 2つ目の柱に関して説明した。教育局では「スタートカリキュラムを含め、幼小接続を見通した教育課程の編成、実施にかかる情報提供や指導助言」「オンライン等による各種研修を通じた異校種間連携に係る取組の推進」「学校力向上に関する総合実践事業における包括的な学校改善の取組への支援」「働き方改革推進事業推進校における取組成果の普及」「心のケアを目的とする道外出身の若手教職員対象の研修会の実施」「危機管理マニュアルの定期的な見直しや改善に向けて学校安全推進会議等による情報提供や指導助言」「1日防災学校の実施に向けた継続的支援と好事例の発信」などに努めていく。

▼柱3 家庭・地域と連携した学校や多様な価値観を認め支え合う社会の実現

▽地域創生に向けた地学協働体制の確立や取組の推進。

 当管内においては「総合的な学習の時間等における地域のよさや可能性について子どもの課題意識を明確にした学習を指導計画へ位置づけること」「地域への愛着や地域の将来を創る意識を醸成するための多様な体験活動」などが着実に進められている。

 今後はこれらの成果を踏まえ「地域人材や企業・団体等の様々な主体との連携を一層深め、地域の可能性や課題を掘り起こすための、地域課題探究型学習の推進」「複雑化、多様化する教育課題に対応するため、重点化を図った効果的な研修の実施」などが求められることから地学協働体制の充実や社会教育施設等の活用による学習機会の確保に努めるようお願いする。

▽家庭・地域との連携の推進

 当管内においては全市町村においてコミュニティ・スクールを導入し、特色ある教育資源を存分に生かした体験活動を提供するなど、学校と家庭と地域が連携しながら教育活動を着実に進めている。

 今後はこれらの成果を踏まえ、保護者や地域住民の皆様の学校経営に対する参画意識の一層の醸成を図り、学校、家庭、地域それぞれが抱える課題を共有しながら解決策を模索し、子どもの望ましい学習環境・生活習慣を構築していくことが求められる。

 こうしたことから「望ましい学習習慣・生活習慣の定着」「コミュニティ・スクールを核とした地域とともにある学校づくりの推進」に努めるようお願いする。

 以上、3つ目の柱に関して説明した。教育局では「局独自事業のオロロンリレーションプロジェクトでの子どもが地域に愛着や誇りを持てる企画の展開」「各学校の地域学習の状況の把握や、地域づくり関係者とのコーディネートの実施」「関係機関との連携による企業説明会、講演会、見学会の開催」「地域連携を深めるためのコミュニティ・スクールの活用促進」「保護者向けネットトラブル学習会といった管内PTA連合会との連携事業の実施」などに努めていく。

(道・道教委 2022-04-20付)

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