十勝管内4年度教育推進の重点 動画教材等で学校支援 新山局長 重点化図った取組を(道・道教委 2022-04-22付)
【帯広発】十勝教育局の新山知邦局長は、11日に幕別町内の十勝教育研修センターで開いた管内小中学校長会議で4年度管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる力の育成」など5項目を提示し、重点化を図った取組を要請。教育局では、地域の産業や人材等を題材とした動画教材の提供や、学校のニーズに応じた社会教育主事の派遣などを実施し、学校等を支援していく意向を示した。
新山局長は「十勝らしい一人一人の学びの実現」をテーマに「十勝はひとつ 子どもたちのために」を合言葉とし、局・市町村教委・学校が一体となった取組を推進していることを述べ、その成果等を継承するため、管内教育推進の重点を前年度と同様5つとしたことを説明。具体の取組については、重点化を図った取組が進められるよう「確実に取り組んでほしい内容のみを示す」とした。
教育推進の重点はつぎのとおり。
【重点1 社会で活きる力の育成】
新型コロナウイルス感染症が子どもたちの学びに影響を与えるなど、複雑で予測困難な社会を迎える中、子どもたちには未来社会を切り拓くための資質・能力を確実に育むことが求められている。
学校は、学校全体で教育の質の向上を図り、全ての子どもたちに社会にはばたく力を身に付けさせることが重要である。
管内では、明確な目標設定による検証改善サイクルの確立や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善などが推進されている一方「授業がよく分かる」「地域や社会をよくするために何をすべきか考える」という質問に「当てはまらない」と回答する子どもが一定程度見られるなど、より一層の取組の推進が必要である。
各学校では、学校全体で教育の質の向上を図るため「“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実による授業改善の推進」など4点の取組を進めるようお願いする。また、子どもたちに社会にはばたく力を身に付けさせるため「ふるさと教育、キャリア教育の充実」など3点の取組を進めるようお願いする。
局としては、管理職やミドルリーダーを対象とした各種会議や研修会の開催、組織力向上に関するアンケートの実施と分析結果の提供、地域の産業や人材等を題材とした動画教材の提供など、各学校の取組を支援していく。
【重点2 豊かな人間性と健やかな体の育成】
子どもたちを取り巻く環境の変化などから、いじめや不登校、体力・運動能力の低下などが指摘されており、子どもたちには充実した人生を送るための基盤となる心や体を育むことが求められている。
学校は、全ての子どもたちに豊かな人間性と社会性、健康でたくましい体を身に付けさせることが重要である。
管内では、いじめ根絶に向けて子どもが主体となった活動などが推進されている一方、学校によっていじめの認知の割合に大きな差が見られたり、新体力テストが年1回のみ実施で成果の検証が不十分な状況が見られたりするなど、一層の取組の推進が必要である。
各学校では豊かな人間性と社会性を育むため「いじめの積極的な認知と早期の組織的な対応」など4点の取組を進めるようお願いする。また、健康でたくましい体をつくるため「新体力テストの全学年全種目実施による体育・保健体育の授業改善の推進」など3点の取組を進めるようお願いする。
局としては、関係機関等との連携による各市町村や学校に対する支援体制の整備、生徒指導や体力向上に関する研修会の開催、生徒指導や体育・保健体育に関する指定事業等の成果の普及など、各学校の取組を支援していく。
【重点3 地域総がかりで学びを支える体制の構築】
地域社会のつながりや支え合いが希薄化し、学校や地域が様々な課題を抱える中、地域の未来の担う子どもたちの健やかな成長に向けて社会総がかりで様々な課題に対応していくことが求められている。
学校は、家庭や地域社会と連携・協働しながら、子どもの学びを支えることが重要である。
管内では、各種調査等の結果から見られる子どもの実態等を家庭や地域に積極的に発信し、家庭や地域と課題を共有する取組などが推進されている一方「家で計画を立てて勉強をしている」という質問に「当てはまらない」と回答する子どもが一定程度見られたり、家庭や地域と役割分担が曖昧で組織的、持続的な連携・協働体制の構築が不十分な状況が見られたりするなど、より一層の取組の推進が必要である。
各学校では、家庭と連携して子どもの学びを支えるため「望ましい学習習慣・生活習慣の確立に向けた家庭や地域との連携の推進」など3点の取組を進めるようお願いする。また、地域と協働して子どもの学びを支えるため「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によるPDCAサイクルの確立」など2点の取組を進めるようお願いする。
局としては、学校等のニーズに応じた社会教育主事の派遣、PTA研修会等における保護者への情報提供、コミュニティ・スクールに関する好事例等の提供など、各学校の取組を支援していく。
【重点4 学びをつなぐ学校づくりの実現】
学校が抱える課題が複雑化し、教師の勤務の長時間化が指摘される中、教職員が心身ともに健康を保ち、誇りとやりがいを持って働くことができる環境の整備を図り、子どもたちに対して効果的で質の高い教育活動を持続的に行うことができるようにすることが求められている。
そのため、学校は子どもの学びをつなぎ、信頼される学校づくりに取り組むことが重要である。
管内では、中学校区における計画的な教員研修の実施、働き方改革手引『Road』を活用した取組などが推進されている一方、義務教育9年間を通じた計画的、継続的な指導のための教育課程の編成が不十分であったり、働き方改革について管理職以外の教員が理解を深める機会が十分に設けられていなかったりするなど、より一層の取組の推進が必要である。
各学校では、子どもの学びをつなぐため「各地域等における小中および中高連携の推進」など3点に取り組むようお願いする。
また、信頼される学校をつくるため「学校における働き方改革を着実に推進するための組織的な対応」など3点に取り組むようお願いする。
局としては、義務教育指導監による計画的な学校訪問の実施、各種会議や研修会等での小中連携に関する協議の位置づけ、働き方改革や不祥事防止等に関する好事例の提供など、各学校の取組を支援していく。
【重点5 地域づくりにつながる生涯学習の充実】
少子高齢化・人口減少の進展など、社会を取り巻く環境の変化によって、社会教育の担い手の減少や地域コミュニティの低下などが指摘されており、社会教育の指導者の育成や社会教育施設等の機能の充実が求められている。
活力ある地域づくりや文化施設を活用した学校教育、社会教育を推進することが重要である。
管内では、文化施設等の有効に活用した学びの機会や芸術文化に親しむ機会が充実している一方、他市町村の文化施設や道立美術館等を連携した横断的な取組の推進が必要である。
局としては、各市町村が実施する地域課題の解決に向けた活動や各施設の特性を生かした施設間連携に向けた取組を支援するため、各学校においては、各市町村の活力ある地域づくりの取組への協力や文化施設等の活用などに取り組むようお願いする。
(道・道教委 2022-04-22付)
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