釧路管内4年度教育推進の重点 ポストコロナに対応 相川局長 子の成長へ協力求める
(道・道教委 2022-05-12付)

釧路教育局長相川芳久
相川芳久局長

 【釧路発】釧路教育局の相川芳久局長は4月下旬、管内公立学校長会議で4年度の管内教育推進の重点を示した。本年度の「管内教育推進マップ・3S(サポート)」について、前年度大きな柱の一つとして位置づけた「新型コロナウイルス感染症への対応」を「ポストコロナ期への対応」と変更。安全・安心な教育活動の実施に向け、地域や学校の実情に応じたきめ細かな教育活動推進に敬意を表すとともに「本年度についても、子どもたちの学びの充実と健やかな成長に向けて協力を」と求めた。

 教育推進の重点の概要はつぎのとおり。

重点項目

 管内教育推進マップについては、急激に変化する社会状況から学校教育の現状や課題を踏まえ、中央に示している大きな3つの柱のうち、前年度、柱の一つとして位置づけた「新型コロナウイルス感染症への対応」を「ポストコロナ期への対応」と変更している。

 この変更については、依然として新型コロナウイルス感染症が子どもたちの学びに影響を与える中、想定外の事象と向き合い対応する力や不透明な未来を切り拓く力をどうかん養していくかといった課題について、コロナ禍を機にあらためて考え、こうした課題の解決に向けた取組を進めることによって、様々な変化に対応しながらニューノーマル(新たな日常)を構築していくことが重要であると考えたものである。

 また、前年度同様「学校における働き方改革の推進」「GIGAスクール構想の実現」を大きな柱として位置づけている。

 2点目の重点項目について、キーワードは前年度から引き続きいかなる状況においても子ども一人ひとりに継続した学びを保障することが大切であると考え、「学びの保障」としている。また、本年度の重点項目については、前年度の重点に関する評価で9割を越え、一定の成果があった項目について、さらに取組の改善・充実を図るため、国や道の通知等に基づき文言を新たに追加および変更をしている。

【「子ども」へのS(サポート)について】

▼社会で活きる力

 「未来を拓くために必要な資質・能力」「社会的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力」「ふるさとを支える人材」の3点を育む取組を推進する。

 未来を拓くために必要な資質・能力の育成については、全ての教職員の参加による学力向上に向けた検証改善サイクルの継続的な推進をお願いする。臨時休業等の影響から、定着状況が不十分と考えられる学習内容について全ての教職員で確認し、確実に定着が図られるようお願いする。

 社会的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力の育成については、地域と連携し、キャリア・パスポート等を活用したキャリア教育の充実をお願いする。キャリア・パスポートについては、2年4月から全ての小・中・高校で実施することとなっており、学年や校種を越えて引き継ぎ、指導に活用することとなっているので、子ども一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育てるため、地域と連携し、キャリア・パスポート等を活用しながら小学校から高校まで継続したキャリア教育の充実に取り組むようお願いする。

▼豊かな人間性

 「豊かな情操や道徳心」「コミュニケーション能力」の2点を育む取組を推進する。

 コミュニケーション能力の育成については、いじめや不登校、児童虐待等の未然防止、早期発見・早期対応に向けた組織的・計画的な取組の一層の充実をお願いする。

 いじめや不登校への対応については、望ましい人間関係を築く力を育むとともに、積極的な認知と組織的な対応によるいじめ防止や早期対応の徹底、不登校児童生徒への初期段階からの組織的・計画的な支援に取り組むようお願いする。

 児童虐待への対応については、関係機関との連携強化による迅速な対応をお願いする。

 本年度「ヤングケアラーへの対応」を新たに位置づけた。道ケアラー支援条例では、教育機関の役割として日常業務の中でヤングケアラーの教育の機会の確保の状況を確認し、支援の必要性を把握することが示された。ヤングケアラーを早期に把握できるよう、各種会議や校内研修等により教職員の理解促進を図るとともに、児童生徒が気兼ねなく相談できる体制づくりや環境づくりをお願いする。

▼健やかな体

 「体力向上を通した健康の維持、精神面の充実」「健康な生活を実践する資質・能力の育成」の2点の取組を推進する。

 健康な生活を実践する資質・能力の育成については、感染症や多様化する健康課題への対応など学校保健委員会の活性化による健康教育の充実をお願いする。様々な健康課題に対応するため、学校、家庭、地域が連携・協働し、子どもたちの健康づくりを推進するようお願いする。

【「学校」へのS(サポート)について】

▼学校における働き方改革の推進

 質の高い教育を実現する働き方改革を着実に推進するようお願いする。

 前年度「道アクション・プランに掲げる取組の推進」「道の学校における働き方改革(Road)に基づく取組の実施」と項目が二つに分かれていた。

 道アクション・プランの中に働き方改革手引(Road)に基づく取組が含まれていることから「道アクション・プランに掲げる働き方改革手引(Road)に基づく取組の推進」と一つにまとめた。校長のリーダーシップのもと、質の高い教育を実現する働き方改革を推進するようお願いする。

▼GIGAスクール構想の実現

 GIGAスクール構想の実現による子どもの学びや教職員を支える環境づくりの推進、1人1台端末やデジタル教材等を活用したわかる授業づくりの実現をお願いする。

 前年度、学級閉鎖や学年閉鎖の際にオンライン授業を実施いただいたが、本年度はオンライン授業の質の向上を図っていただくとともに、全ての小・中学校に外国語等のデジタル教科書が導入されることから、1人1台端末やデジタル教材等を効果的に活用した学びを推進するようお願いする。

▼マネジメント機能の強化

 「学校経営・運営の改善・充実」「教職員の力が発揮できる環境づくり」の2点の取組を推進する。

 学校経営・運営の改善・充実については、組織マネジメントの徹底をお願いする。各学校においては学習指導要領を踏まえ、学校評価を効果的に活用しながら組織マネジメントやカリキュラム・マネジメントの取組を一層進めるようお願いする。

▼教職員の資質・能力の向上

 「学びの質を深める指導力の向上」「チームとしての学校の実現」の2点の取組を推進する。

 学びの質を深める指導力の向上については、ICT活用指導力チェックリスト等に基づく教職員のICT活用指導力の向上を図る研修の充実をお願いする。個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させるために教職員のICT活用能力の向上が不可欠であることから、局独自の1人1台端末活用にかかる研修会など、積極的な参加をお願いする。

▼危機管理体制の強化

 「子どもの安全・安心の確保」「服務規律の保持・徹底」の2点の取組を推進する。 

 子どもの安全・安心の確保については、学校管理下や登下校中の事件・事故や災害の発生が後を絶たないことから、安全教育の一層の充実や学校安全に係る危機管理体制の強化をお願いする。各学校においては、防犯訓練や交通安全等の取組の一層の充実を図るとともに、危機管理マニュアルを見直すなどして学校防災体制の強化に努めるようお願いする。

 服務規律の保持・徹底については、教職員の不祥事の根絶に向けた研修の徹底と意識共有を図る場の設置など取組の強化をお願いする。

 管内においては前年度、飲酒運転やスピード違反が発生するなど教職員の不祥事が依然として後を絶たず、大変、憂慮すべき状況が続いている。このため、あらためて一人ひとりの教職員にその責務の重さを自覚するような働きかけを継続的に行うとともに、法令順守や服務規律の徹底についてお願いしているが、警察等の関係機関とも連携し、従来からの研修を工夫改善するなど、実効性の伴う取組の強化を図るようお願いする。

▼学校段階間の連携・接続の推進

 「連続性のある教育活動」「組織的な学校段階間連携の取組」の2点の取組を推進する。

【「家庭・地域」へのS(サポート)について】

▼学びを支える家庭・地域

 「地域とともにある学校づくり」「家庭の教育力の向上」「幼児教育の充実」の3点の取組を推進する。

 幼児教育の充実については、多様なニーズに対応するための幼児教育施設における研修等の機会の充実をお願いする。

 多様化する就学前の子どもに関する教育・保育のニーズに適切に対応するため、幼児教育施設と小学校の関係者による合同研修の場を設定し、幼稚園教育要領に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえたカリキュラム・マネジメントに基づく、発達や学びの連続性を確保した取組を推進するようお願いする。

▼学びを活かす地域社会

 「活力ある地域づくりの推進」「地域住民の学習成果が活かせる活動機会の創出」の2点を推進する。

 特に高校においては、地域の魅力や良さを生かしながら地学協働体制を構築するなど、魅力ある高校づくりを進めるようお願いする。

おわりに

 これからを生きる子どもたちにとって、学びは小学校から高校段階で完結するものではなく、大学など高等教育機関での学びや実社会で活躍しながらの学びなど、人生100年時代において学び続けることができる環境を整えることが重要である。

 教育局としては、市町村教委や校長の皆さんとこれまで以上に連携を深めながら、学ぶことの楽しさ、分かることのうれしさを実感できる教育の実現を図ることができるよう全力を挙げて支援していくので、よろしくお願いする。

(道・道教委 2022-05-12付)

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