【解説】指導が不適切な教員への対応
(解説 2022-07-04付)

 全国的な教育水準の確保を図るため文部科学省は、指導が不適切な教員の人事管理の厳格化に関する提言等に基づき平成19年に教育公務員特例法を改正。教育委員会において「指導が不適切」と認定した教員への指導改善研修の実施が義務化された。来年度からは研修履歴も踏まえ、個別研修計画書を作成することとなる。

 指導が不適切な教員とは「知識、技術、指導方法、その他教員として求められる資質・能力に課題があるため、日常的に児童等への指導を行うことが適当ではない教諭等のうち、研修によって指導の改善が見込まれる者」と規定される。指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドライン改定案では、教員として求められる資質・能力を「これまで不易とされてきた能力のみならず、新しい教育課程への対応やICT・データの利活用、特別な支援を必要とする児童生徒等への対応など、時代の変化に対応して身に付けるべきものも含む」と改めている。

 校長等による日常的な観察、指導主事等による観察、面談、保護者からの意見・苦情等によって指導状況等を把握するが「指導状況の記録の負担やその後の対応の不安感から、対応を先延ばしするようなことがあってはならない」とした。

 指導が不適切には至らない「指導に課題がある」教員に関しては、教育委員会が必要な支援策を講じるほか、学校の管理職や指導主事等による指導助言、個別計画書作成や研修奨励などの対応を行うと明記。

 校長においては、授業観察、教員とのコミュニケーション、人事評価制度の活用による指導状況の把握や早期かつ適切な指導助言など、きめ細かな支援体制の整備が重要と指摘している。

(解説 2022-07-04付)

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