【解説】令和の通信制高校へ提言案
(解説 2022-07-20付)

 文部科学省の調査によると、高校の通信制課程の在籍生徒数は大きく増加しており、高校の生徒数に占める割合は平成7年度の3・2%から3年度の6・8%と倍増している。

 この20年間で公立の通信制高校の生徒数は半減している一方で私立では2倍以上に増加し、特に北海道、茨城県、鹿児島県、沖縄県で増加傾向にあるという。

 文科省の設置する「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高校の在り方に関する調査研究協力者会議では、こうした通信制高校の現状や課題、ICTの急速な進展、対面指導の重要性や質の保証の観点などに基づき、提言の取りまとめに向けた準備を進めている。

 15日の第9回会議では、通信制高校の指導方法、指導体制、質保証の方策、所轄庁の在り方などを整理した審議のまとめ素案を示した。内容をみると「5人以上」としている実施校の教員数の規定見直しの必要性に言及しており、委員からは「生徒数80人当たり1人以上の教員が適切ではないか」との意見が多く出た。収容定員の設置認可の見直しに当たっては、現行240人としている規模の下限を撤廃すべきと提案している。

 このほか、高校の質保障確保のための関係法令の徹底、広域通信制高校における連携協力施設の情報の整理・可視化、所轄庁における指導力向上などの施策を盛り込んだ。

 早ければ8月29日の次回会議で審議まとめを了承する予定。教員数や収容定員については年度内に関連法令等を見直し、来年度から施行となる。このほか提言に基づき年度内にガイドラインを改訂し、高校の自己点検チェックシート(仮称)も作成。個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けたモデル事業も実施する予定。

(解説 2022-07-20付)

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