道高校長協会商業部会が研究集会　地域の教育力を学びに　函館商業高など３校発表

（関係団体 2022-08-01付）

３年ぶりの研究集会で１１８人が一堂に会した

　新型コロナウイルス感染症の影響で、３年ぶりの開催となった。

　開会に当たり、澤田部会長は新学習指導要領の趣旨の具現化を呼びかけ「集会を通じて、あすからの授業実践に役立てほしい」と述べた。

　来賓あいさつでは、文部科学省初等中等教育局参事官（高校担当）付産業教育振興室の田中圭教科調査官、渡島教育局の柴田亨局長、函館市教委の辻俊行教育長が登壇した。

　講演では、公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科の奥野拓教授が「情報系大学における地域連携研究と人材育成、ホテルビュッフェの事例」と題して説明した。

　地域連携による同大の研究と教育として、デジタルアーカイブの構築と活用を紹介。函館市内の歴史的資料や文化財コンテンツをＡＩ技術で運用するもので、小学生のデジタル社会科副読本の支援やアプリケーション開発などの取組を挙げた。

　現在は朝食・夕食のビュッフェ形式を採用している市内のホテルと共に、料理の適切な追加を自動で計る共同研究を実施中。提供のタイミングによって、フードロスや顧客満足度の低下などの課題に転じる可能性を踏まえ、カメラセンサーとＡＩ技術でスタッフの行動や料理と食器の彩度差などを分析し、適切な調理作成を指示するＣＮＮ（畳み込みニューラルネットワーク）の仕組みを解説するなど、ホテル業務の品質向上や業務改善を図る最先端の技術を伝えた。

　全体協議では、士別翔雲高校の佐々木惇二教諭、帯広南商業高校の鈴木真教諭と柴崎伸也教諭、函館商業高校の志平剛史教諭の４人が研究発表。

　うち函館商業高の志平教諭は「地域の教育力を生徒の学びに繋げる“課題研究”の取組～新科目“観光ビジネス”を見据えて」と題し、流通ビジネス科における商品開発、販売実習、観光学習の活動を発表した。地域企業の協力のもと開発した「バターチキンカレー」は、伊藤忠食品主催の商業高校フードグランプリ２０１７に出品。出場を機に、航空会社との機内食品開発にも着手するなど、ビジネスの広がりや生徒の学習意欲向上につながる様々な研究を紹介した。

　２日目は「基礎・総合科目」「マーケティング・マネジメント」「会計」「ビジネス情報」の４分野で部会別研究協議を実施。参加者は商業教育の発展に向け、活発に意見を交わした。

(関係団体 2022-08-01付)