道CLASSPJコーディネーター会議 地学協働で生徒が成長 上士幌高の明石氏が講話(道・道教委 2022-08-05付)
道教委の北海道CLASSプロジェクト第1回地域コーディネーターミーティングでは、上士幌高校学校コーディネーターの明石穂乃香氏が同校の取組について講話した。高校生の目線で地域の人・もの・ことをつなぐ「上高マッチング」を通し、生徒が意欲的に活動を行うようになり、上士幌町を「第2の故郷」「居場所」と思うほど地域に親しみ、大きく成長したことなどを紹介した。概要はつぎのとおり。
着任して最初のころは、コーディネーターというものが何か誰も分からず、また10月という半端な時期だったこともあり、地域学のコーディネーターをする以外は明確な仕事がなかったのだが、それから半年の間、先生方や生徒、役場、町の人たちなどと関係を築けたことが財産になった。
徐々に、高校のホームページの中で学校の様子を更新させていただいたり、生徒会のサポートをやらせていただいたりするようになった。
職員会議にも先生方から「入ってくれた方がスムーズだから」と招かれるようになった。役場との連携も「農業関係ならあの課のあの人に」とすぐに分かるようになった。
そして「上高マッチング」が始まった。高校生の目線で地域の人・もの・ことをつなぎ、新たな価値を生み出すための新企画で、最初は店主と社会教育主事との会話から始まった。
「スパイスをパンにかけたらすごくおいしいんだけど、何かできないか」「高校生の若い発想でやったら面白くないか」という話から、校長先生と家庭科の先生と私で打ち合わせ、上高マッチングが誕生した。
家庭科のライフデザインは3年生の学校設定科目で、社会人として身に付けてほしいスキルや知識を体験的に学ぶ授業だが、教科書もなく何をやったら良いかという時に、うまく授業の目的とマッチングした。
最初は町のパン屋さんとスパイス屋さんとのコラボ商品を製作した。道の駅かみしほろで販売させてもらったところ大変盛況で、道の駅の店舗の方から「うちともコラボしてほしい」との話があり、道の駅かみしほろにある4店舗とコラボし、商品を考えて販売することとなった。
同じ町内、施設内でも大人同士だと気軽に「コラボしよう」という話にはならないが、そこに高校生が入るとスムーズにできる。
また、道の駅のレストランではムラサキイモを使いたいが、食欲減退色なので使えないと思っていたところ、高校生が逆に紫色を生かしたスープを考案し、レギュラーのメニューとなった。シェフの方からは「そういう発想はなかった。高校生の発想は素晴らしい」との声をいただいた。
上高マッチングには3つのポイントがある。より多くの発想・アイデアを大切に、形にすること、より多くの地域人材を巻き込むこと、そしてより多くの町民に取組を届けること。
まず生徒が変わった。「あと5分で授業終わりだから」という先生のアナウンスに「え、もう?」「まだやりたいんだけど」という声があったり「これ家でやってみたんだよね」と積極的に家で取り組んだことを教えてくれたり、普段物静かな子が販売会の時に積極的に客に「これどうですか?」と声をかけていて、生徒の成長が見られて感動した。
それとともに、先生も変わったと思う。最初は販売会も乗り気でない感じだったが、終えてみると「来年は何をしますか?」とすごく前のめりになってくれた。よく大人を変えるには子どもの姿を見せるのがいいというが、それを実際に体験するいい機会になった。
また、上高マッチングをきっかけに生徒が地域に出るようになった。
上士幌高は、上士幌町出身の子は2割ぐらいで、近隣の音更・士幌・帯広から通っている子が多いのだが、わざわざ上士幌町でアルバイトやボランティアに参加するようになった。
3年生は3月で卒業したが、卒業式が終わったあと教育委員会にあいさつしに来たり、ゴールデンウイークも上士幌に来て近況報告してくれたりと、上士幌町が「ただ高校のある地域」ではなく「第2の故郷」や「居場所」になったのではないか思う。
地域と共にある学校、学校を核とした地域づくりなど、地域連携に関して言われることが多いと思うが、個人的にはあくまでもそれは手段だと思っている。
地域や学校のためではなく、生徒の成長や、人生の選択肢を増やすための機会として最適なのが地域の活用だと思う。
地域を活用したからこそ、結果的に地域活性化につながる。それを支えるのが私たちコーディネーターだと思っている。
何のために地域連携をするのか、目的を見失わないように今後も力を尽くしていきたいと思う。
(道・道教委 2022-08-05付)
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