札幌市など　民生委員児童委員大会　誰のためか肝に銘じて　道家庭学校理事長が講演

（札幌市 2022-08-16付）

３年ぶりに開催した民生委員児童委員大会

　札幌市と市民生委員児童委員協議会、市社会福祉協議会は３日、札幌文化芸術劇場ｈｉｔａｒｕで第７５回市民生委員児童委員大会を開催した。市内の民生委員・児童委員ら約１１００人が参加。永年勤続者の表彰を行ったほか、遠軽町の児童自立支援施設・北海道家庭学校の仁原正幹理事長が講演し、同施設の取組や児童福祉への考え方を紹介した。

　新型コロナウイルス感染拡大の影響で元年を最後に中止していたため、３年ぶりの開催。感染防止のため、出席者は会場定員の半分以下に制限した。

　大会の中で、仁原理事長は「社会的養護の子どもたち～北海道家庭学校の暮らしと教育」と題して講演した。

　近年、同施設に入所する子どもたちは被虐待経験や発達障がいによる課題を持っており、同時に愛着障がいを抱えていることを指摘。疑似家庭的な小舎夫婦制の寮での生活の中で、育ち直りしていることを紹介した。

　施設内にある遠軽町立東小学校と遠軽中学校の分校である「望の岡分校」では、農作業などの作業班学習も、子どもたちと家庭学校や分校職員が一緒に取り組んでいることを紹介。「子どもとの一層の意思疎通につながり、学習指導にも役に立っている」と述べた。

　同施設を含む児童福祉の目的や役割について、仁原理事長は「子どもの人権を守ること」だと主張した。「児童福祉に携わる人で、早急な成果を求めて熱心に取り組むあまり、子どもの自由を奪って閉じ込めてしまうことが往々にある。誰のための児童福祉なのかを肝に銘じなければならない」と呼びかけた。

　このほか、講演に先立って、３５年永年勤続者６人を含む６５７人を表彰した。

(札幌市 2022-08-16付)