札幌市教委　教頭対象に学校経営研修　支え合う職場づくりを　関西外大・新井教授ら講話

（札幌市 2022-08-17付）

管理職としての資質向上を図った

　札幌市教委は９日、カナモトホールで教頭等を対象とした４年度学校経営研修を開催した。檜田英樹教育長や関西外国語大学の新井肇教授による講話を通して、市立学校を取り巻く状況や教職員のメンタルヘルス向上に関する理解を深めた。

　檜田教育長はあいさつで、３年に及ぶ新型コロナウイルス感染対策への尽力に敬意を表しつつ、直近の感染状況に言及し「行動制限がなく、気が休まらないと思うが、自身や職員、家族などの感染に留意して」と気遣った。

　引き続き、「数字で見る札幌市の教育～現状とこれから」と題して講話。市立学校の概要や教職員の推計、市の本年度予算に占める教育費、学校・給食運営に係る経費、学校諸費などに関するデータを紹介するとともに、服務規律の順守を要請し「校長の経営方針やビジョンを具現化するためのパートナーシップを発揮する教頭は、これらを念頭に学校経営に当たってほしい」と呼びかけた。

　このあと、関西外国語大の新井教授が「教職員のメンタルヘルスと管理職の役割～燃え尽きる前に支え合う職場づくり」をテーマに講話した。

　新井教授は、現在の学校においては「解決困難な教育上の課題が山積している」と指摘。正解のない問題にあふれ、目の前の課題への現実的対応を求められる中、「個々の教職員の力量や学校の組織的教育力の向上とともに、教職員の疲弊をどう防ぐかが問われている」と述べた。

　教員がストレスを感じる事案として、事務作業の繁忙や保護者への懸念などを挙げ「授業以外のところでストレスを抱えている」と強調。教頭らに対し「子どもも先生も元気のある温かい学校をつくるために、自身の心の健康を大切にしてほしい」と呼びかけた。

　メンタルヘルスの不調で１ヵ月以上休業する教職員の割合が全産業平均を大きく上回っているとする厚生労働省の調査を引用。若い人ほど精神疾患に陥りやすい傾向を示し「真面目な人が多い教職員に見られるのは、燃え尽きタイプによる不調」と強調。対人援助職特有のストレスであることを示し、「教職員の多くがやりがいを感じている一方で、職務上の負荷が大きい」と述べた。認知を柔軟にするセルフケアの促進や、教職員を孤立させない支え合う学校風土づくりの大切さを訴えた。

(札幌市 2022-08-17付)