札幌市 おとどけアートで芸術家派遣 29日琴似小皮切りに 11月に藤野南小、伏古小
(札幌市 2022-08-26付)

 芸術家が“転校生”として一定期間小学校を訪れ、児童と様々な創作活動に取り組む札幌市の「おとどけアート事業」が29日からスタートする。本年度実施校の琴似小学校には、29日から9月上旬、11月から12月にフォトグラファー・美術作家のクスミエリカさんを派遣。藤野南小学校には、11、12月に映像作家の大島慶太郎さん、伏古小学校には、11月から来年2月にアーティストの進藤冬華さんが訪問し活動する。

 事業は、市の子どもの文化芸術体験事業の一環として、市内小学校を対象に平成20年度から実施しているもの。3年度末時点で延べ44校で実施している。主催は、AISプランニングが事務局を務めるおとどけアート実行委員会。

 事業では、アーティスト、芸術家が転校生として一定期間小学校を訪れ、学校の余裕教室や空きスペースをアトリエとして創作活動を展開。これまで、様々な活動を通じて、児童・教職員・保護者・地域住民と交流してきた。

 本年度は、琴似小、藤野南小、伏古小の計3校で実施する。

 琴似小には、29日から9月上旬、11、12月の期間にクスミエリカさんが訪問。藤野南小には、11月から12月に大島慶太郎さんを派遣する。

 また、伏古小には、11月から来年2月の期間に進藤冬華さんが来校し活動を開始する。

 本年度も前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から“密”の状況を避けながら絵画や写真などの展示・発表など、各種交流活動を展開する予定。

 本年度派遣する芸術家のプロフィール等はつぎのとおり。=敬称略=

▽クスミエリカ(フォトグラファー・美術作家)

 札幌市出身のフォトグラファー、美術作家。自身で撮影した写真のみを素材とし、デジタル処理を施した「デジタルコラージュ」作品を制作。誰もが目にすることが可能な時間も空間も異なる現実の風景を重ね合わせ、非現実な世界を再構成することで、日常の延長線上に存在するかもしれないもう一つの世界を表現する。作品は、4年個展「ノスタルジア」GALLERY MoNMA・札幌、「VOCA展2019」上野の森美術館・東京、平成28年「モーション/エモーション―活性の都市」札幌芸術の森美術館・札幌などに展示してきた。2年札幌市文化奨励賞、道銀芸術文化奨励賞受賞。

▽大島慶太郎(映像作家)

 昭和52年釧路市生まれ。平成14~15年ケルンメディア芸術大学特別研究員、16年道教育大大学院修了。

 「動画構造の解体と再構築」をテーマに映像作品の制作および、表現研究に取り組む。近年は古写真や絵葉書などの既存のビジュアル資料を素材とした実験的な作品を制作する。主な作品は「debris」「A FOUND BEACH―omnibus」など。作品制作のほか「第2マルバ会館」のメンバーとして上映企画やワークショップなども手がける。

▽進藤冬華(アーティスト)

 札幌を拠点に活動するアーティスト。自身のアイデンティティーへの疑問から北海道に関連する歴史や文化などを題材とし、現在から過去の出来事にどう向き合うことができるのかを作品を通じて問おうとしてきた。平成12年道教育大札幌校芸術文化課程美術・工芸コース卒業、18年アルスター大学(ベルファスト、北アイルランド)ファインアートコース修了。これまでの主な展覧会に「札幌国際芸術祭2014」「移住の子」「Parallax Trading」などの作品を出展している。

(札幌市 2022-08-26付)

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