札幌市教委 全国学力調査報告書 中学 国・数・理で全国超 端末等活用機会が大幅増
(札幌市 2022-08-29付)

表
札幌市立学校の各教科平均正答率(クリックすると拡大表示されます)

 札幌市教委は25日、4年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。各教科の平均正答率は、小学校が国語・算数・理科でいずれも全国平均をやや下回り、中学校が国語・数学・理科でいずれもやや上回った。児童生徒質問紙調査では、授業中にパソコンやタブレットを使用する頻度が、前年度と比べて大幅に増えた一方で、自分の意見を発表する場面などでの活用は小学校で5割程度、中学校で3割程度にとどまった。市教委は今後の取組として、協働的な学びや思考が深まる学びを一層進めていくことなどを挙げている。

 調査は4月19日に実施。市内小学校198校の6年生1万3252人、中学校99校の3年生1万2390人が参加した。新型コロナウイルス下では昨年に続く2回目で、国語と算数・数学に加え、4年ぶりに理科を実施した。このほか、学習意欲や生活実態に関する調査を行った。

 公表した報告書は、小数点第1位まで独自に算出した平均正答率と学力の課題と改善策をまとめている。

 平均正答率は、小6の国語が全国平均比0・4ポイント低い65・2%、算数が0・8ポイント低い62・4%、理科が0・6ポイント低い62・7%。

 中3の国語が0・8ポイント高い69・8%、数学が1ポイント高い52・4%、理科が1・2ポイント高い50・5%だった。

 各教科の領域別にみると、小6国語では小・中共に「わが国の言語文化に関する事項」での平均正答率が全国平均を下回った。中3数学では「図形」領域で、昨年と同様に全国平均を3ポイントほど上回り、小6でも1ポイント高かった。

 全体的には、自分の考えをまとめることや道筋を立てて説明することなどの問題で、正答率が低く無回答も目立った。

 市教委は「小・中共に、身に付けた知識・技能を活用することが課題」とし、改善に向けて、対話や他者との協力で学びを深める「協働的な学び」の取組を進めるとした。

◆意見交換での端末効果的活用が課題

 生活習慣や学習環境に関する質問紙調査では「自分には良いところがあると思う」と答えた児童生徒の割合は、小・中共に前回調査と比べて上昇。小6が75・8%、中3が77%で、共に3ポイントほど上昇した。

 将来の夢や目標を持っているか尋ねる質問に「当てはまる」「どちらかと言えば当てはまる」と答えた小6は76・7%だった。平成19年度の81・5%から減少傾向にある。中3も64・6%で、5ポイントほど低下した。

 GIGAスクール構想の推進を踏まえて、ICTの活用に関する質問も新たに盛り込み、授業中におけるパソコンやタブレットの場面ごとの使用頻度について尋ねた。

 授業で、パソコンやタブレットを「ほぼ毎日」「週3回以上」「週1回以上」使用すると回答した子どもは、小6で前年度比57・5ポイント増の89・6%、中3で52・5ポイント増の78・9%で、使用頻度は大きく変化した。

 場面ごとにみると、小・中共に、インターネット検索など自分で調べる場面での活用が最も進んでいた。

 一方で、友達と意見交換する場面での活用は小6が54・6%、中3が37・3%。自分の考えをまとめて発表する場面での活用は小6が47%、中3が28・6%にとどまった。市教委は「思考が深まる学びの場面などで、効果的に活用する授業を促進していく必要がある」とした。

 市教委は9月上旬にも、市のホームページで報告書を公表する。各学校に対しては、報告書を参考に自校の状況や課題を把握した上で、改善策を年内に取りまとめて公表するよう促すとしている。

(札幌市 2022-08-29付)

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