道教委 縄文遺跡で次世代育成 全道展開へ指導案作成 11月に「子どもサミット」開催
(道・道教委 2022-09-27付)

 道教委は、世界文化遺産に登録された北海道・北東北の縄文遺跡群を活用した「次世代育成事業」を本格的にスタートする。出土品の3Dモデル制作やバーチャル・リアリティー(VR)で縄文遺跡を探索できるVRツアーといった教材開発を行い、10月から小中高14校でゲストティーチャー授業を実施。これをもとに指導プログラム・指導案の作成を行い、来年度から各学校で授業を行える体制を整える。また、11月26日には北東北3県の児童生徒とオンラインで「世界遺産子どもサミット」を開催。それぞれの実践を交流するほか、「共同宣言」の採択などを行う予定だ。

 同事業は、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録を機に、児童生徒の縄文時代の歴史・文化への理解促進や、文化財保護意識の醸成を図るもの。

 事業の柱は①教材開発とゲストティーチャー授業②講演会③子どもサミットの開催―の3点。

 教材開発は、出土品の土器やひすいの勾玉などの3D化を図るもので、パソコン上であらゆる角度から見えるようにする予定。また、360度のVRを使い、教室にいながら縄文遺跡の中を歩いて探索する「バーチャル・ツアー」もできるようにする。

 さらに、縄文遺跡・文化の学習に熱心に取り組んでいる小学校6校、中学校6校、高校2校を対象に出前授業方式でゲストティーチャー授業を実施。地域資源を活用した教育・普及プログラムの開発などを行っている㈱ジオ・ラボ(旭川)等3者によるコンソーシアムがこうした教材をもとに10、11月にかけ、各校で1回ずつ授業を行う。

 各授業には、道教委の義務教育課等の指導主事が立ち会い、3D教材等をより分かりやすく改良するとともに、教材を用いた指導プログラム・指導案を作成する。5年3月までに指導プログラム・指導案および教材を公開し、5年度から各学校で縄文世界遺産を活用した授業を行えるようにする計画だ。

 これらの教材については11月の道ふるさと教育・観光教育実践事例交流会でも紹介する予定。

 2つ目の柱の講演会は、11月12日に道立北方民族博物館で実施。道教委文化財・博物館課の藤原秀樹課長補佐が縄文時代の文化や生活について講演する。

 小中学生と保護者を対象に、環境生活部が展示している土器等を実際に触ってもらいながら解説。いずれも午前と午後の2回にわたり実施する。

 3つ目の柱は「世界遺産子どもサミット」の開催。11月26日に、北東北3県の児童生徒とオンラインでつなぎ、それぞれの遺跡での学習や活動の成果を交流する。

 参加予定の学校は、千歳市立第二小学校、函館市立臼尻中学校、とうや湖縄文キッズクラブと、青森県、秋田県、岩手県の学校・団体。実践発表のほか、筑波大学芸術系教授・黒田乃生氏の講演「地域と世界をつなぐ世界遺産学習」や、「共同宣言」の採択などを行う予定だ。

 道教委では「学校教育の分野で縄文遺跡や文化についてどう学ぶかを検証し、5年度から各学校で授業ができる体制を整えたい」と話している。

 ゲストティーチャー授業の対象校はつぎのとおり。

▼小学校

▽江別市上江別小▽森町鷲ノ木小▽小樽市塩谷小▽壮瞥町壮瞥小▽浦河町浦河東部小▽釧路市湖畔小

▼中学校

▽鹿部町鹿部中▽深川市一已中▽豊浦町豊浦中▽新ひだか町三石中▽釧路町昆布森中

▼高校

▽伊達開来高▽広尾高

(道・道教委 2022-09-27付)

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