教職員の協力を高める学校づくり〈№９９〉　ヒューマンマネジメント　ミドルリーダーを育てる⑥

（教職員の協力を高める学校づくり 2022-09-28付）

　シリーズ「ミドルリーダーを育てる」のまとめとして、学校が組織体として教育機能を効果的に発揮し、教職員の関係性の改善や向上を図るため、ヒューマンマネジメント（人的資源管理、人材の管理をいい、人材を経営資源として捉え、有効活用するための仕組みを体系的に築き運用すること）の基礎理論によって、学校におけるヒューマンマネジメント（芦屋広太氏「一つ上のヒューマンマネジメント」日経クロステック）を記述します。

１　ミッション

　ミドルリーダーとして期待する人材は、学校の状況をある程度把握でき、自身がやるべきことを推測し、教育活動を推進できますが、当初は仕事への知識や判断基準を持たないため、仕事の手順など具体的な説明がなされないと進めることができません。しかし、仕事に慣れるのにつれて立ち位置を理解し、自分なりの考えを持って仕事を進めるようになります。

　特にミドルリーダーに必要なのは、自分が進める仕事は学校づくりにどのような意味があるのか。また進めた結果、どのように改善を図ることができるのかなど、目的意識であるミッション（使命感）を持たせることがミドルリーダーの育成には必要です。

２　モチベーション

　ミドルリーダーのモチベーションが上がらない要因として①仕事を通して自身の成長が実感できない②仕事にやりがいを感じない③スクールリーダーや同僚から褒められ、認められていない④職場の人間関係に問題がある⑤職場の仕事環境が劣悪である―など、動機付け要因（精神的に成長したい、外部から認められたいという欲求）と衛生要因（苦痛や欠乏を避けたいという欲求）が満たされていないことが原因とされています。

　ミドルリーダーのモチベーションアップのためには、疎外されている要因の特定と改善が必要となります。

　そこでスクールリーダーは意識して①日常的にコミュニケーションを図る②努力の過程を褒め、認める③課題が見られる場合は肯定的に助言し、どうあるべきかを協議し相手に納得解（自分が納得し、かつ関わる他者を納得させられる解）を見いだせるようにする―など相談やフォローを行うことが望まれます。

３　ワーク・ライフ・バランス

　ミドルリーダーばかりではありませんが、仕事にやりがいを見いだしながら「社会の一員として働く時間」と「子育てや介護、自身を高めるために必要なプライベートな時間」のどちらも充実した生き方を実現する（内閣府男女共同参画局・仕事と生活の調和憲章）ワーク・ライフ・バランスを整えることは、学校にとって極めて重要な課題です。

　働き方改革との関連で、学校の業務や学校体制を見直し、休暇取得の改善などに着手するなど、どうすると効率的に仕事を進め、教育力を高めることができるかを継続的に検討することが求められています。

（北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭）

(教職員の協力を高める学校づくり 2022-09-28付)