教職員の協力を高める学校づくり〈No.103〉 感染拡大の影にコロナ慣れ あらためて今必要な職場のメンタルヘルス①(教職員の協力を高める学校づくり 2022-11-30付)
道内では「第8波」とも言える新型コロナウイルスの感染が、子どもの感染者の急増を特徴に拡大しています。要因としてはワクチン接種率の低下、気温の低下による換気不足、行動制限の規制緩和による予防策の緩みなどが言われています。
あらためて確認したいところですが、新型コロナ感染対策を講じながらの学校運営について、勤務環境や業務内容が通常時とは異なる中で職務に従事している現状を踏まえ、精神的な緊張や心身の過度な負担につながることが懸念されるとして、2年6月文部科学省から「教職員のメンタルヘルス対策に関する通知」が出されました。
内容は①本人のセルフケアの促進、校長等のラインによるケアの充実、良好な職場環境・雰囲気の醸成等の取組を推進する予防的な取組の推進②労働時間の状況把握、長時間労働者への医師による面接指導、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)など労働安全衛生管理の一層の充実③教職員の役割等の校務分掌を見直し、勤務負担が過重とならないよう十分に留意する指導体制④教職員のメンタルヘルス不調等に関する相談体制の充実―の4点が述べられています。
今号から「あらためて今必要な職場のメンタルヘルス」シリーズとして、コロナ慣れによる予防策の不徹底を取り上げます。
新型コロナの感染経路はご存じのように、せき、くしゃみ、会話等のときに排出される飛沫やエアロゾルの吸入、接触等と考えられています。
手洗いの徹底、他者と身体的距離(2㍍以上を目安)が確保できない中で会話を行う場合での隙間のないマスクの着用、ソーシャルディスタンス、自分のコーヒーカップなどは使用後、界面活性剤いわゆる台所用洗剤で消毒するなどの予防策が職員室で必要とされています。
学校は集団活動を原則とした場ですので、クラスターの発生源ともなりやすく、教師間の予防対策に温度差が生じている場合、児童生徒にも影響を与え、コロナ慣れや緩みによるクラスターの発生が、報道でも取り上げられています。
教職員全員が、同じベクトルで対策を徹底するためにも、予防策の早めの確認をお勧めします。
厚生労働省が公表した行動指針として、新型コロナを日常生活に取り入れた「新しい生活様式」のマニュアルが提示されていますので、感染拡大防止と注意喚起の一環として、その内容を確認する機会を設けてはどうでしょうか。
つぎに、学校における新型コロナに関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」の感染状況の調査では、全ての学校種を通じて「感染経路不明」が最も高い割合となっており、次いで「家庭内感染」が多くなっていますので、学校と併せて家庭内での感染予防の確認や見直しが必要かと思います。
ちなみに児童生徒の感染状況によると、幼稚園、高校では「学校内感染」はそれぞれ15%、19%と、他の学校種と比較して高い割合となっています。
幼稚園や小学校では「同一クラス」での感染事例が大半を占める一方、中学校や高校では「同一部活動」での事例が最も多く報告されています。
幼稚園児や小学生はどうしても身体接触の機会が多く、中学生や高校生は部活動や放課後などの自主的な活動による感染拡大が要因と言われており、あらためて感染対策について児童生徒が自ら留意するための指導が求められています。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-11-30付)
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