教職員の協力を高める学校づくり〈№104〉 心身の不調に耳を傾ける あらためて今必要な職場のメンタルヘルス②(教職員の協力を高める学校づくり 2022-12-12付)
新型コロナウイルスの感染拡大は「第8波」とも言われ、高い数値で推移し、予断を許さない状況が続いています。文部科学省が「学校の新しい生活様式」改訂版Ver・8を示していますが、日常化ができているでしょうか。
ご存じのように新型コロナの感染拡大に伴い「コロナうつ」が大きな話題となりました。また新型コロナによるパンデミック時には気持ちを張りつめていましたが、幾分緩やかになった今でもコロナうつとして体調異変を訴える方がいます。
いずれにしても新型コロナの感染拡大によって通常の生活習慣を変えざるを得なくなり、ストレスとして私たちに重くのしかかり、感染への不安や恐怖、さらに対応疲れによって心身の変調を来しています。
特に心のバランスが取ることができず、様々な異常を自覚せざるを得ない状況を一般にコロナうつと言いますが、何となく気力が充実せず仕事に気が向かないときや、何かにつけ気分が落ち込んでしまうときなどは誰でも経験していますが、その症状がイコールうつ病というわけではありません。
それは疲労や心配事など何らかの事情によってエネルギーが消耗している状態であり、適度な睡眠や休息で回復することができます。
しかしうつ病とは、教師生活そのものに支障があり、睡眠が十分に取ることができず、極度の疲れや気分がふさぎ込み、より苦しみが強くなる場合は、病的にエネルギーが低下しているためうつ病であると考えられます。
一般に気分が落ち込んでいる状態が回復せず、苦しさが増している状況が2週間ほど続いた場合は、心療内科などに相談に行くようにしてください。
私の経験上、心配なのは「大丈夫。そのうち治る」と考え、苦しさに耐えようとする方がいますが、余計症状が悪化してしまい回復に時間を要する場合があります。このような自覚症状を訴える方がいましたら、周りからも病院へ行くよう勧めてください。
うつ症状やうつ病にとらわれると、思考そのものがゆがみ、物事の捉え方がネガティブとなり、考えがまとまらず考えることそのものを放棄する状況に陥ります。このような場合は正しい判断や児童生徒に対する適切な対応が難しくなりますので、休むことが最良です。
そうは言っても児童生徒への責任があるので、簡単には休むことができないと言われる方がいましたが、こうした場合は思考力も低下していることを自覚し、大切な指導は他の方に委ねたり、時間や内容を決めて対応したりすると良いと思います。
何となく気分の落ち込みが感じられる場合は、規則正しい生活習慣を心がけることが基本です。規則正しい生活習慣づくりは、就寝時間ではなく起床時間を一定にすることです。特に休みの日は体調も優れないのでゆっくり寝ていたいと思いますが、生活のリズムを一定にすることが早い回復につながります。
つぎに可能な範囲で自分を解放し、家族や同僚らとコミュニケーションを図り、他の人からエネルギーをいただいてください。さらにメンタルヘルスを高めるためには、疲れ過ぎない範囲での運動が奨励されています。
特にコロナ感染拡大期の今は、血流の流れの促進と体感として感じる「すっきり感」を得るため、密を避けながら軽い散歩や体操、ストレッチをお勧めします。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
◇参考文献
▽うつを治す辞典(大野裕、法研、2003)
▽教職員のための最新メンタルヘルス・アドバイス(真金薫子、社会保険出版社)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-12-12付)
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