教職員の協力を高める学校づくり〈№98〉 個々の教育活動を促進させるために ミドルリーダーを育てる⑤(教職員の協力を高める学校づくり 2022-09-20付)
ミドルリーダーを育てる経営思考について、言うまでもなくスクールリーダーは人材をいかに育てるのかにありますが、目標を達成するために意思決定を必要としている組織の計画などに関係する分析法としてSWOT分析(SWOT analysis、イギリス)があります。
外部環境や内部環境を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法ですが、教職員個々の「強み」を再認識されてはどうでしょうか。
どうしても積極的に教育を進めようとする教職員に目を向けがちですが、教職員個々の「強み」は理解されているでしょうか。
カメラ撮影、草花の収集、釣り、旅行などの趣味、さらにはサッカーや野球などのスポーツ、パソコン操作等が堪能など、それぞれの教師が持つ特性を理解しておくことは、新たな視点でのミドルリーダーの発掘の機会ともなり、学校の「強み」としても活用できます。
さらに学校によっては、20代でミドルリーダーとして活動しなければならないこともあります。経験の少ない分、不安を抱え思考錯誤の毎日です。ミドルリーダーに育てるためには、教職員相互の関係性を調整することが必要です。
関係性の調整とは、端的に言えば「職員室の良い人間関係づくり」です。
良い人間関係とは「互いに肯定的である」ことが原則ですが、外面的同調(周囲に合わせる)をすることではありません。互いの関係性を高めるためには、言い方の問題が大きく左右します。否定的な言い方は相手にとって、人格まで否定された感じる場合もあり、先鋭化された意見はリスキーシフト(集団の合意形成の過程において、極端な言動が注目されやすい現象)によって相手を沈黙させてしまいます。
「〇については私も同感ですが、〇と捉えることもできますよね」「〇の提案については十分理解できます。〇についてはどうしたら良いでしょうか。皆さんと一緒に協議していきましょう」などとまずはいったん受け止め、協議の視点を広げるようにしてはどうでしょうか。
またご存じのように、教職員の関係性が教育に大きく影響します。「若いので仕方がない」ではなく、次代を担うミドルリーダーをどう育てるかは、年配の教員やスクールリーダーの手腕にかかっています。学校には伝統的な教育の進め方がありますが、その方策がいつの間にか形骸化し、当初の目的が見えなくなることがあります。提案に対して「この学校では、このように進めているのでそれはできない」と否定するのではなく、活動の原点に立ち返り若い教職員の意見を取り入れるようにしたいものです。
職場内の人間関係を高めることは、ミドルリーダーを育て友好的な職員室風土を築くために必須です。会議の進め方の一例を説明しましたが、このような内容を含め、日常から教職員の関係性を見直していただければと思います。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-09-20付)
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