教職員の協力を高める学校づくり〈№97〉 コミュニケーションの質を高める ミドルリーダーを育てる④(教職員の協力を高める学校づくり 2022-08-30付)
今号はコミュニケーションの質をどう高めるかについてです。コミュニケーションの質を高めると言っても特別なことではありません。日常の所作の中にコミュニケーションを見直す場があります。
恐縮ですが、対人関係の場で私なりに意識している一つに、他からの問いかけには仕事を中断し相手と目線を合わせるようにしていることです。もしも仕事が立て込んでいる場合は事情を説明し、〇分くらいにお話をお聞きできますと告げて相手の同意を得るようにしています。
ご存じのように、コミュニケーションには非言語と言語があります。メラビアンの法則(アルバート・メラビアン、アメリカ心理学者1939―)では、相手の感情を読み取る際に大部分の情報は視角(表情、視線、しぐさ)や聴覚(声のトーン、話すスピード)から得ており、信頼関係を築く上で重要な要素としています。
また、相手が話しやすい雰囲気を醸成するためにも非言語のコミュニケーションは極めて重要です。社会心理学にミラー効果(同調効果、姿勢反響)があります。具体例で説明すると、話を聞くスクールリーダーがぶっきらぼうで不機嫌な態度で話を聞くと、相手も不機嫌に陥り、相手がいぶかしい態度であってもうなずき、相手の話をよく聞こうとすると次第に心を開き親近感を抱きやすくなるという効果です。
さらに、スクールリーダーの皆さんにとって教職員とのコミュニケーションで意識していただきたいのは「教職員の満足度」です。例えば校長室を出るときに「話を聞いてもらえた」「自分の考えを理解しようとしてくれた」など、満足感が心に広がっているかどうかです。
そのためには話す4割、聞く6割が望ましいと言われています。話の内容によっては相手が7割で、自分が3割を意識する場合もあります。逆に相手が3割で自分が7割になると相手の満足は得られなくなります。
スクールリーダーの皆さんには、日常の教職員とのコミュニケーションのバランスはどうであったか振り返っていただければと思います。
誰でも時折、言語を中心に相手の状況を考えず、コミュニケーションを図ることがあります。特にミドルリーダーとのコミュニケーションでは、相手の理解や納得になっているかどうか。言葉に現れていない非言語を観察し、相手の言語を読み解きながら、つまずきや不安に思っているところを推し量り、面談を進めたいものです。
また、相手がよく使うフレーズや日常の行動に注目し総合的に状況を把握することも必要です。ただし、話の中で「やる気がない」「意欲的ではない」などと決め付けると、結果的にその見た目で相手と接することになります。
言語では、相手の聞きたいことに答えるようにします。遠回しな言い方や、その都度、話題を変換するなどは不信感を芽生えさせます。シンプルに相手の問いに答えるようにしますが、適切に伝えるためには、相手が望むことは何かを把握しなければなりません。
さらに語彙力が不足し感情的になると、ついつい相手に失礼な言い方になってしまう場合もありますので、コミュニケーションの最中、今の自分を客観視し感情を制御する必要があります。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-08-30付)
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