教職員の協力を高める学校づくり<No.92> 自主性と自己肯定感 次世代の教員を育てるチーム職員室5(教職員の協力を高める学校づくり 2022-06-02付)
次世代の教員を育てるチーム職員室シリーズでは、職員室風土の醸成、関わり方の基本について記述してきましたが、今号では内発的な意欲を育てるための基本的要素を記述します。
新採用教員には着任以降の数ヵ月間、様々な業務がシャワーのように降り注ぎます。緊張と不安の連続となり「仕事を進めたいけれど、何をどうするといいのだろうか」と立ち止まり、意識レベルが高まらず、周囲の状況を正しく理解できない状態に陥るときがあると言われています。
特に近年の傾向として若年層の教職員には、心が安定し安心できる環境を供与できるかどうかが、教育の後継者育成のための重要な要素となっています。
▼自主性を尊重する
教育実習や学校ボランティアなどで、児童生徒との関わりを持ったといえども、教育の本質的な課題への理解は十分ではないことは誰もが承知しています。
教師生活のスタートに当たり指導助言しなければならないことは多様にあります。特段、児童生徒の安全や学校としての教育ルール以外の内容は先回りして指導するのではなく、若手の自主性に委ねてみてはどうでしょうか。
ただし「悩みは一人で抱えることなく、必ず相談するようにしてください」と事前に説明し、相談を受けた場合は、児童生徒の側に立った助言をするようにしてはどうでしょうか。
▼自己肯定感を高める
日本の若者の自己認識の調査の結果では、自分自身に満足している者の割合は5割弱、自分には長所があると思っている者の割合は7割弱で、いずれも諸外国と比べて最も低い結果となっています。階級別にみると23歳、24歳にかけて諸外国との差が大きくなっています。
自己肯定感は自尊心とも言い換えることができ、高い自尊心を持っている人は「自分に満足している」と自分をポジティブに見ることができます。
また、自尊心が高い方は「挑戦心」「達成感」「規範意識」「自己有用感」に関する意識が高い分析結果がなされており、それ以外にも「向上心が高い」「自己管理ができる」「困難克服力が高い」などが挙げられます。
逆に自己肯定感が低いと、どれだけ褒められ、評価されても心が満たされない状況にあります。この意識調査を根拠に考察すると、ポジティブな自己意識(自分として認めていい自己存在の意識)をどう持たせ維持させるかが、若手職員を育てる大切なポイントではないでしょうか。
ポジティブといっても、表面的な褒め言葉を投げかけることではありません。具体的には様々な教育活動の過程と結果に対して「どのような考え(感情)で、つぎはどうしようか」と問い、つぎの自分づくりにチャレンジさせることが必要であると言えます。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
引用・参考文献
内閣府、若者、子ども白書(平成26年度版)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-06-02付)
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