教職員の協力を高める学校づくり №91 高めるべき資質「感性」を育てる 次世代の教員を育てるチーム職員室4(教職員の協力を高める学校づくり 2022-05-31付)
児童生徒と適切な関係を築き教育活動を進めるためには、教師は感性を養うことが最も重要と言われています。感性の一般的定義は物事に感じる能力であり、印象を受け入れる能力、感受性、また感覚に伴う感情(引用・グーグル辞書)とされています。つまり、何かを見たり聞いたりしたときに深く感じ取り、感覚的に物事に対して感じていることで、教育の場で捉えるならば、児童生徒の気持ちを感じる力や場の雰囲気を読むなどが挙げられます。
特に感性を高めるには、周りからの刺激やイメージを固定観念にとらわれず柔軟に受け止めるようにすることが大切であり、見聞きすることに「どうしてだろう」と立ち止まると、今までとは違う景色が見えてきます。
例えば、朝、教室で「おはようございます」とあいさつしたときに普段との違いをキャッチできるか。児童生徒が下校したあと教室へ安全確認のため出向いたとき、机の中が乱雑になっていないか、また掲示物等にいたずらがあるかないか、急に友人関係が変化し、対立感情が芽生えていないかどうかなど、いつもとは違う様子に気づくことができるかどうかです。
さらに授業を進めていく中で「この児童(生徒)は、ここが十分理解できていない」と即座に感じ、必要なアドバイスができるかどうかは、児童生徒との信頼関係や学級づくりにも大きく影響します。
教師としての感性を高める一番の機会は授業です。特に新卒の先生は他校や経験豊かな先生の授業を見る機会が多くあると思いますが、何を学べば良いのでしょうか。経験知に基づいた授業の進め方を学ぶことも必要ですが、その先生と児童生徒との関係性やその先生だからできる内容も多く含まれています。
授業にはその授業者の教育哲学や人間性が必ず表れます。教材開発や教育方法は多様にありますが、それ以上にどのような考え方を持って、どの場面でどう児童生徒に働きかけたのか。その意図はどこにあるのかなどを授業の中からくみ取れるよう授業参観者への事前説明、授業反省会にしてはどうでしょうか。
特にその機会では授業者が一方的に説明するのではなく、「○○の場面で○○のように学習内容を説明しましたが、その理由は分かりますか」「もし皆さんだったら○○の場面ではどうしますか」など、対話形式によって授業反省会を進めるようにすると、授業づくりそのものの理解が進み、教師として必要な感性が磨かれていくかと思います。
感性を磨くことは、学習指導要領や教える内容が変わっても、児童生徒の立場に立った授業づくりの視点として揺らぐことはありません。また感性が高まらなければ、児童生徒、保護者や同僚の教師の心をつかむことができません。さらに自分自身の問題にも気づきません。特に皆さんの教育後継者の若手には、最も高めていただきたい資質であり能力です。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-05-31付)
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