【解説】地域移行の受け皿へ5モデル
(解説 2022-09-30付)

 経済産業省は地域移行の受け皿として採算の合う事業体の運営を検証するため、3年9月から4年2月に全国10ヵ所で「未来のブカツ」フィージビリティスタディ事業を実施した。

 神奈川県川崎市では、地域のプロスポーツクラブや家庭を対象にアンケート調査を行って会費収入を試算。必要となる会費収入と保護者の受容できる額に大きな乖離があることが分かった。福岡県福岡市では受益者負担を月4000円と仮定しても赤字となり、事業者側における収益機会の増加が必要としている。

 大阪府の高校ではコナミスポーツクラブと連携し、高校施設を活用した地域スポーツクラブの可能性を検証。株式会社が学校施設で営利事業を提供することが論点となったが、府との協議を経て「公立高校の学校施設での事業は学校長の判断で可能」と整理された。

 沖縄県うるま市では教育委員会主導で受け皿団体の運営委託や支援団体を設置し、家庭科室での料理教室など空き教室を活用したサービスや指定管理者制度の導入を検討した。学校施設での営利活動は条例で禁止されているため、特例の適用には時間を要することが分かった。

 結果を踏まえ、人口と受け皿となるリソースの多寡に応じ①プロスポーツクラブの活用②市の外郭団体主導③地域スポーツクラブ活用④大学連携⑤新団体設立またはそれらの組み合わせ―の5類型を整理。

 一方「持続的な事業運営のための収入源」「活動場所、移動手段、コーチング機会」の確保など、構造的な問題が浮き彫りとなった。加えて、スポーツ関係者と学校関係者で部活動改革の目的や将来像が共有できていないことや関係者の意志疎通・意思決定の課題、先行して行動することを避ける自治体特有の心理的問題を指摘している。

(解説 2022-09-30付)

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