【解説】特異な才能ある児童生徒
(解説 2022-09-28付)

 特定分野に特異な才能のある児童生徒には、特定の領域における優れた能力や強い関心、創造性、集中力、記憶力などが見られる一方、環境になじめず学習上・学校生活上で困難を抱えるケースが指摘されている。定義は諸外国でも一律でなく、IQなどの基準を設けず科学技術、芸術、スポーツなど多様な領域で大綱的な定義を定めるものが多い。

 特異な才能を特定の基準で提示しないことで学校現場での誤解や不安を招くとの懸念もあり、審議の取りまとめの過程では判別を求める声も挙がった。

 一方で、特定の基準で選抜された子どもに特定のプログラムを提供することによる過度な競争、現場における分断や差別が生じる恐れがあり、審議まとめでは特定の基準や数値で才能を定義せず、全ての児童生徒の多様性を認め、一環として考えることを基本としている。今後は実証事業に基づき教育現場で参考となる考え方や事例を蓄積・共有。認知や発達の特性や困難さを把握するアセスメントツールの情報を収集して有効性を検討することとなる。

 義務教育段階における飛び級に関しては一人ひとりの社会性をかん養する観点から慎重に検討すべきと指摘。人的・物的な環境整備を行う上で必要となる国民的な合意形成の重要性にも触れている。

 会議では委員が「学校や教育委員会向けの参考資料の提供や、オンラインを活用した一般向けの情報発信を」「点検評価を行う会議体などを設置して取組を検証することが必要」「才能や特性故に抱く集団への不適応などの社会的困難に着目し、才能を伸ばすことが大切」などと意見。

 このほか、これまで実施できなかった「特異な才能」に起因する不登校児童生徒の調査に期待する声が上がった。

(解説 2022-09-28付)

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