【解説】コロナ流行で子の心実態調査

（解説 2022-11-24付）

　国立成育医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症流行下の子どもの心の実態調査をまとめた。コロナ禍で食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加し、２年度に引き続き、３年度も外来患者数、入院患者数共に高止まり。摂食障がいの患者のための病床数は２年度に引き続き不足していることが分かった。

　調査は、子どもの診療ネットワーク事業の一環で実施したもの。子どもの心の診療ネットワーク事業の拠点病院・機関とオブザーバー協力機関を合わせて全国３０医療機関（３１診療科）を対象にコロナ流行前の元年度とコロナ禍の２年度、３年度を比較した。

　調査結果をみると、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加し、２年度に増加していた神経性食欲不振（神経性やせ症）の初診外来患者数、新入院患者数は、３年度も男・女児共に高止まり。摂食障がいの患者のための病床数は、２年度に引き続き不足している。

　摂食障がいの病床充足率は、元年度と比べ、２年度・３年度共に高止まりまたは増加している病院が多い。中には３００％を超える病床充足率の病院もあった。摂食障がいを治療できる医療機関が少ないこともあり、特定の病院に入院患者が集中していることが要因とみられる。

　また、コロナ太り対策のダイエット特集の報道やＳＮＳでの情報、運動を推奨する教員や保護者などからのアドバイスに子どもたちが過度に影響を受けた可能性も考えられている。

　摂食障がいの子どもや青年の病床数が２年度に引き続き不足しており、摂食障がいを治療できる医療機関の拡充が求められている。

　センターでは、家庭や教育機関において、子どもの食欲や体重の減少に気を配り、深刻な状況になる前に医療機関の受診につなげる必要性を指摘している。

(解説 2022-11-24付)