札私幼・札私幼P連5年度予算要望(札幌市 2022-12-13付)
札幌市私立幼稚園連合会(札私幼、藪淳一会長)と札幌市私立幼稚園PTA連合会(札私幼P連、伊藤龍平会長)が札幌市に提出した5年度予算に対する要望書の概要はつぎのとおり。
札私幼
▼特別支援教育事業
「私立幼稚園等特別支援教育事業費補助金」は年々増加し続ける「特別な支援を必要とする幼児」に対して拡充を図ってきたが、一人ひとりの自立に向けたきめ細かな適切な支援体制をより充実させるため、一園当たりの基準額の単価を専門職としてふさわしい額に増額するとともに、対象となる教員の最大人数(5人)の上限枠を撤廃することを要望する。
また、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園の1号認定の子どもも対象にすることを合わせて要望する。
▼教材教具補助事業
施設設備の充実や手厚い人員の配置など、以前より経費支出が増大している昨今の私立幼稚園・認定こども園においては、良質な保育環境の整備と維持に公的助成が欠かせない。消費税増税ならびに物価高騰による影響で教材教具に関する支出も増えている現状であり、予算総額の維持ないし増額とともに、対象事業や補助単価ならびに算定基準を見直し、対象施設の拡大を図って、より実効性のある事業とすることを要望する。
▼新制度に係る事項
新制度に関する事項では、以下の5項目を要望する。
①近年増加傾向にある特別な支援を必要とする幼児の一時預かり受け入れに対し、人材配置がしやすいように補助(幼稚園型は1人当たり日額4000円、一般型は1人当たり日額3600円)の実施をしてもらっているが、より充実した支援体制の構築が可能となるよう、認定方法については各区の幼児教育支援員によるアセスメントを受け「札幌市私立幼稚園等特別支援教育事業」において要支援児の認定を受けている子どもも対象にすること
②一時預かり幼稚園型を実施している幼稚園および認定こども園の事務負担に対応する「就労支援型施設加算」の実施において、利用定員に対しての連携施設の受け入れ枠の設定や、開所時間等の要件等、現在の国基準より高いハードルを下げ、利用しやすい制度にすること
③2歳児を定期的に受け入れる一時預かり事業幼稚園型の実施に当たっては、開所時間や休園日を国の要綱に準じるなど、補助単価の増額を含め、実施しやすい条件にすること。また、事業実施のために必要な改修支援等を行うこと
④幼児教育・保育を一体的に提供する札幌市の体制をより充実させるため、認定こども園への移行または創設を希望する法人に対し、施設整備に要する費用を補助する認定こども園整備事業の補助金を今後も継続すること
⑤1号認定こどものアレルギー補助を、自園調理を含む、外部委託・外部搬入、さらに認定こども園、施設型給付の幼稚園も対象とすること
▼研修費等助成事業
団体補助本連合会では、職員の資質向上のための研修事業と労働環境の充実のための事業等様々な事業を実施しているが、特別支援教育やキャリアアップ研修など研究研修事業は拡大の一途をたどっている。
現在、その様な状況を勘案し本連合会としても厳しい経営環境のもとにおいて、事業見直しを実施し、2年度には、やむを得ず会費の値上げにも踏み切った。
さらに、子ども・子育て支援新制度によって実施されている研修(保育士関係の研修体制等)の質向上にも影響があり、質の高い幼児教育を担っていくための団体運営が非常に厳しい状況にさらされている現状。
また、新型コロナウイルスの影響等によって、オンライン研修等のシステム構築も求められる状況が続き、コロナ禍ならびに新しい時代においての職員の資質向上を支えるべき研修体制のさらなる発展と充実のためにも、団体補助の拡充等について、再度、検討するよう要望する。
▼人材確保事業幼稚園教諭・保育教諭
札幌の私立幼稚園・認定こども園における幼稚園教諭・保育教諭の人材確保は年々厳しさを増している。教育・保育の質を向上させていくためには、優秀な人材を継続的に確保するとともに、定着を促進することが欠かせない。
待機児童の解消に大きな役割を果たしている私立幼稚園や認定こども園の人材確保に関しても、保育所と同等の支援を求めるとともに、人材確保に関する新規事業の拡充を要望する。
▽保育人材確保に向けた一時金給付事業
一時金支給額の増額や対象勤続年数の拡充など、人材の確保・促進にとってより実効性のある仕組みにすることを要望する。
▽潜在保育士短時間就労支援補助事業
朝・夕等に短時間で勤務するパートタイム保育士への配置に要する費用の補助についても、上限額の増額を図るなど利用価値のある事業にすることを望む。
▽保育支援者配置補助事業
当該補助事業の拡大として、子どもたちの安全を十分な人員で確保するためにも、園外活動時の見守り等に取り組む場合に設けられている国の補助基準額を札幌市も適用すること。また、保育に係る周辺業務を行う保育支援者を配置することによって、保育者の負担は軽減され、保育人材の確保や離職防止につながるだけでなく、保育業務に集中することで保育の質の向上も期待できることから幼稚園型認定こども園と札幌市一時預かり事業を受託している施設型給付の幼稚園も市独自に対象とすることを求める。
▽本連合会の事業への支援
本連合会が主催する「就職フェア」「復職セミナー」等、人材確保事業へのさらなる支援を要望する。
▽その他
札幌市が実施する保育園ミーティング等の人材マッチング事業や、中高生の職場体験などは、より人材確保に効果的なものとなるよう予算措置や事業内容を検討することを求める。また、人材の確保がよりスムーズに行えるよう、一時預かり事業の有資格者条件についても、国基準と同水準に緩和することを要望する。
▼災害対策に係る事項
非常災害時に外部に連絡を行うためおよび保育中の園児の安全確保を図るために、子どもが生活する全ての施設において電力の確保は必要な備え。令和元年度、非常災害時を想定して、認可保育所、認定こども園を対象に「保育施設非常用電源設置補助事業」が実施されたが、私立幼稚園も対象にした同様の事業の実施を要望する。
▼新型コロナウイルス感染症対策
幼児と教職員の心身の健康と命を守るために、引き続き新型コロナウイルス感染症対策に関連する補助事業の継続およびさらなる支援の充実を要望する。
札私幼P連
幼児教育・保育の質向上のためのさらなる公費助成
幼児教育・保育の無償化が実現し、保護者負担は軽減されたが、幼児教育・保育の質向上のためには、さらなる公費助成が欠かせない。単なる待機児童対策にとどまらず、札幌の子どもの育ちに焦点を当てた私立幼稚園・認定こども園への補助制度の拡大を望む。
▼PTA団体助成金
当該助成金は多様化するPTA活動の事業費の根幹をなす貴重な財源。近年、子育て支援と同様に「親育ち支援」が求められ、保護者が親として育つための各種研修会の企画運営などPTA活動が担うべき役割は極めて大きくなってきている。
また、家庭の子育て力や地域の教育力の低下が懸念される中、親と親を結び付け、親と園を結び付けるPTAの存在意義も、今まで以上に増している。
この現状を認識いただき、PTA活動の円滑な運営のため、団体助成金の増額を要望する。
(札幌市 2022-12-13付)
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