全小社研北海道大会公開授業⑨八軒西小 人の営み題材に産業学ぶ 情報活用するセコマの物流から(札幌市 2022-12-14付)
第5学年授業研究会A(1)
札幌市立八軒西小学校5年1組(高田雄平教諭)
情報を生かす産業~販売と運輸を結び付けた物流による地域創生
◆第5学年で目指す子どもの姿
▼日本の産業を発展させている人々の営みに思いを馳せ、産業構造の今を知ることで、未来に希望をもちながら追究する子
第5学年の社会科学習では、国民生活を豊かにしている日本の産業について学んでいく。どの産業学習でも、人々の工夫や努力、そして抱える課題を取り扱う。
「資源枯渇」「後継者減少」「少子高齢化」「環境問題」「産業構造変化への対応」など、具体的な解決策を見いだすのが難しい問題ばかりである。
本部会では、発想の転換によってそれらの問題解決を図り、産業の持続可能な発展や地域貢献を成し遂げている人の営みを取り上げ、子どもたちが将来に希望を持ちながら追究できる授業を目指している。
本単元では、情報活用によって、産業構造に変化が起こった販売業の「今」を子どもたちは学ぶ。
本実践で取り上げるセイコーマート(以下セコマと表記)は、「生産」「配送」「販売」を結び付けた物流によって、広大な北海道の生活を支え、全国に商品を販売している。
情報活用による効率化、情報を活用している人々の営みについての学習を通して、持続可能な産業の発展や地域創生の視点から未来に希望を持つ子どもの姿を目指す。
◆本単元の目標
わが国の産業と情報の関わりについての学習について、情報の種類、情報活用の仕方に着目して、セコマの情報活用に関わる具体的資料で調べてまとめ、産業と情報活用の様子を捉え、情報を活用して発展した産業が国民生活に果たす役割を考え、表現することを通して、情報活用して生産・販売・配送を結び付けて物流を構成することは地域の生活を維持したり、関連産業を発展させたりすることを理解できるようにする。
また、セコマの物流を支える堤さんの営みを知り、情報活用による国民生活の向上について日常生活の豊かさや地域の活性化など多角的に捉えようとする態度を養う。
◆本時のねらい
セコマが情報を加工して送信する、顧客情報を活用するなどの情報活用している事例についての話合いを通して、全店舗でのサービスを向上させたり個別のニーズに応えたりすることで国民生活を向上させていることについて考え、表現している。
◆本時の展開
【子どもの主な活動】
〈問いを生む場〉
〈既習〉
▽データベース
・顧客、販売、発注など、各種情報
・年齢、性別など、一つ一つが大切
〈新事実〉
▽送られる情報
・項目はバラバラ
・年齢、性別などがない部署もある
・部署ごとに違う
▽工場
・エリアごとの発注数
▽配送センター
・店舗ごとの発注数
▽店舗
・特売情報、売上予想
▽商品部
・詳細な販売情報
▽「全ての項目が大切なはずなのに、全部バラバラだ!」
▼課題「(集めた情報の一つ一つが大切なはずなのに)セイコーフレッシュフーズ専務の堤豪気さんたちは、なぜ、部署ごとにバラバラのデータを送っているのか?」
〈考えをつなぐ場〉
▽店舗
・発注しやすくなる
・たくさん売るための工夫がしやすい
▽商品部
・商品が売れる条件が分かる
・特売などを計画できる
▽配送センター
・在庫や工場から届く商品を管理できる
・各店舗へ配送準備できる
▽工場
・配送に間に合うように生産できる
・エリアごとに準備できる
▼まとめ「それぞれに必要な情報を送ることで仕事の効率をよくして“生産”“配送”“販売”が結び付くようにしている」
〈吟味・検証・再考する場〉
▽商品部・店舗
・値上がりした商品を変更、新商品の売れ行きは良い
・「変更が成功しているのに…」
▽お客さん
・変更前の商品を置いて欲しいという手紙を出す
・「どんなお客さんなんだろう」
▽堤さん
・「情報活用して、復活を決めました。決め手は、顧客情報です」
・毎週、セコマで買い物している
・その商品をほぼ毎回買っている
▽商品が売れる
・値上がりしても、買ってくれる
・他の商品も買ってくれる
・全店舗でお客全体に
▽お客さんを大切に
・常連さんの願いを叶えたい
・また来てくれるように
・個人のニーズに答える
▼まとめ「セコマは情報活用により全店舗に商品を揃えたり、個別のニーズに応えたりすることで、高い顧客満足度を得ているんだね」
【教師の具体的な手だて】
〈問いを生む場〉
▽収集した情報の項目一つ一つが大切という既習と、部署ごとに加工されて送信されている事実の比較から問いを生む
▽送られてきた情報の比較から、仕事内容と関連付けて考えられるよう見通しをもてるよう関わる
〈考えをつなぐ場〉
▽立場ごとに必要な情報と仕事について、ICTを用いて意見を共有していく
▽発注から商品が店舗に届くまでの時間の経過に着目して考えることで、部署ごとの仕事の効率化と、顧客満足度への影響を関係付けて捉えられるようにする。
〈吟味・検証・再考する場〉
▽なぜ、個別の要求に応じたのか、セコマの顧客情報活用の視点から考えられるよう関わる
▽情報活用によって全体へのサービスと個別ニーズへの対応のどちらも向上させ、高い顧客満足度を得ていることを捉えられるようにする
▼評価
▽「情報活用と顧客満足度
向上の関係を捉えているか、スクールタクトの記録や発言内容から評価する
(札幌市 2022-12-14付)
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