PICK UP No.3 札幌市教委
(札幌市 2022-12-14付)

ピックアップNo.3人間尊重の教育
宣言の作成に向けて生徒たちがオンラインで話し合った

◆次期教育振興基本計画策定へ

 札幌市教委は本年度、仮称・第2期教育振興基本計画の策定に向けた検討を開始した。

 教育振興基本計画は、幼児期から生涯を通じた教育施策を総合的に示すものとして平成26年度に策定。市の教育が目指す人間像として「自立した札幌人」を掲げ、様々な施策を展開してきた。

 令和5年度で10年間の計画期間が終了することから本年度、次期計画の策定に向けた検討会議を設置し、2回にわたって会議を開催。有識者4人を委員に迎え、計画の方向性、成果指標などについて協議を進めてきた。

 その中で「自立した札幌人」について「市が目指す方向性を端的に分かりやすく表している」と評価する声が上がるなど、現行計画の良さを確認した。市教委の担当者は「そうした良さを大切にしつつ、新たな視点を取り入れていきたい」と述べる。

 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大、GIGAスクール構想の推進など、子どもたちや社会を取り巻く環境は現行計画策定時と大きく変化している。学校・家庭・地域のさらなる連携の必要性、地域住民の学びを一層充実させる重要性などが課題として浮かび上がった。

 今後、委員から寄せられた意見などをもとに市教委が素案をまとめる予定。また、5年度は公募委員を加えた新たな検討会議を設置し、より具体的な議論に突入していく。

 12月上旬の市議会第4回定例会で、檜田英樹教育長は次期計画の方向性について「地域と共に子どもたちを育む学校づくりを進めるとともに、学びを通した人々の関わりがより良いまちづくりにもつながり、人も社会も豊かになるような教育の実現を目指す」と答弁。市の教育の根幹となる同計画の充実に期待がかかる。

◆人間尊重教育 重点の基盤に

 「勇気を持って思いを伝え合ってほしいという思いを込めたい」「“プラス”という言葉を強調したい」と積極的に自分の意見を発信する生徒たち。「人間尊重の教育」の一環として本年度から市教委が取り組む「さっぽろっ子宣言」作成に向けた会議の一場面だ。笹川恒春推進委員長(北栄中校長)は生徒たちの姿に「自分の意見を言いっぱなしにするのではなく、相手の意見を踏まえて調整しているのが素晴らしい」と目を細める。

 全ての人の生命や人格を尊重するための人権教育。市ではそれを「人間尊重の精神の醸成を目的とする教育活動」と捉え、「人間尊重の教育」として推進している。

 市教委は本年度から、人間尊重の教育を学校教育の重点の基盤と位置付け、相互承認の感度を高める教育活動をより意識して進めていくこととした。

 その背景として浮かび上がった市の子どもたちの課題は「一人ひとりが自分の良さや可能性に気付いていくこと」。

 市教委が3年度に実施した「学習などについてのアンケート」によると、「人の役に立ててうれしいと感じる時がある」など他者からの承認に関する項目に比べ、「自分には良いところがある」など自己承認に関する項目で肯定的な回答をした児童生徒の割合は低い傾向にある。

 人間尊重の教育推進事業では①多様性に向き合う学校教育の推進②「人間尊重の教育」を踏まえたグランドデザインの作成・改訂③札幌市の子どもをつなぐ自治的な活動―の3つの研究事業を推進。「一人ひとりが大切にされている」と実感できるより良い学校づくりに向けて取り組んでいる。

 笹川委員長は「さっぽろっ子宣言は、今後各学校が仲間づくりなどに関する取組を進めるときに、目指す方向性を示す指標のようなものになれば」と期待。また「自分たちが関わったものが、宣言として形に残る喜びを実感してほしい」と願っている。

(札幌市 2022-12-14付)

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