健康教育推進へ　道教委指定　リーダー養護教諭が発表　虫歯や心の健康など４校種

（道・道教委 2022-12-13付）

健康教育推進リーダー研修会

　道教委は９日、健康教育推進研修会を札幌市内の道自治労会館で開催した。本年度から各校種で新たに指定した健康教育推進リーダー４人が本道の子どもたちの健康課題を踏まえた実践研究を発表。教室の換気、メンタルヘルス、アレルギー対策の専門家による基調講演も実施し、道内の教育関係者１２０人が健康教育の充実へ理解を深めた。

　道教委は本年度から道内４地域の４校種から健康教育推進リーダーを指定。本道の子どもたちの健康課題を踏まえた実践研究とともに、初任段階の養護教諭の資質・能力の育成・支援に取り組んでいる。

　研修会は複雑・多様化する健康課題に適切に対応するため、学校における健康教育の充実を図るため開催。オンラインを含め道内国公私立学校の教職員や行政職員約１２０人が参加した。

　はじめに健康・体育課の今村隆之課長が行政説明。子どもたちの「生きる力」の基盤となる健康教育の重要性を踏まえ、肥満、虫歯、視力、アレルギー疾患など本道の子どもの課題や感染症対策等の指導における留意点を伝えた。

　続いて道立総合研究機構北方建築総合研究所の村田さやか主査が学校の換気方法について基調講演。「窓からの気流を暖房や人に当たらない方向に流す」「開けている窓とカーテンの間に空間を設ける」など室内の気温低下を避ける工夫を伝えた。

　道医療大学心理科学部臨床心理学科の冨家直明教授は「子どもの心の健康」と題して講演し、新型コロナウイルス感染症による心理面の影響を踏まえソーシャルサポート（相談、援助、情報提供など社会的関係による精神的・物質的支援）の重要性を指摘。また怒りや不安といった感情に振り回されないために感情を調整する力を高めるトレーニング「マインドフルネス」を紹介した。

　講演後、健康教育推進リーダーが実践研究を発表。旭川市東町小学校の加納亜梨沙養護教諭は歯と口の健康づくりに向けた学級活動の実践や長期休業中の歯磨きカレンダーの作成などの取組を紹介した。江別市立江陽中学校の渡辺真衣養護教諭はスマートフォンやゲームの使用に関する実態調査の結果や改善に向けた生徒・保護者に対する情報発信の手法を取り上げた。

　室蘭清水丘高校の江口未玖養護教諭は本年度から学習指導要領で盛り込まれた保健体育「精神疾患の予防と回復」のチーム・ティーチングによる授業実践を発表。岩見沢高等養護学校の清野道恵養護教諭は個に応じた適切な生徒対応の事例をもとに日常的・計画的な一次的支援の必要性を説いた。

　最後に「アレルギー疾患の最新の動向と学校の対応」をテーマに札幌医科大学医学部心理科学講座の野上和剛助教、道医療センター小児科の矢吹郁美氏が講義し、指導体制のポイントやエピペン使用時の注意点を解説した。

(道・道教委 2022-12-13付)