Pick Up No.1 道・道教委 
(道・道教委 2022-12-12付)

ピックアップ①
地域との触れ合いで生徒が大きく成長している

◆ヤングケアラー市町村の支援体制を

 道は4月、北海道ケアラー支援条例を施行した。都道府県では埼玉、茨城に次ぐ3番目。先行例が少ない中、施策の具体を定めた「ケアラー支援推進計画」(仮称)の年度内完成を目指しつつ、できるところから事業を実施してきた。

 ヤングケアラーの多くは自覚がなく、自らの状況を誰にも相談した経験がない。このため、啓発用のリーフレット等を学校や医療機関など約1万5000ヵ所に配布。SNSや広報誌も活用し普及啓発に努めた。

 また、市町村や関係機関向け研修会の開催、教育と福祉をつなぐコーディネーターの配置、地域へのアドバイザー派遣を開始。6月からは江別市内にヤングケアラー相談サポートセンターを開設。来所、電話、メール、SNSなど様々な手段で相談を受け付けている。

 相談は「ヤングケアラーではないかと気になる子がいる」といった大人からの相談が多く、加藤高一郎センター長は「支援の鍵は大人」と手応えを語る。ユーチューブの活用など一層若者になじむ周知を検討中だ。

 道教委も啓発資料やガイドライン、アセスメントシートなどを作成。研修用動画を常時視聴できるようにした。スクールカウンセラー等の派遣を増やし、早期発見への体制を強化した。

 来年度からは、推進計画に基づく施策が本格化する。実際にケアラー支援を担う主体は市町村であり、計画では支援体制の構築と窓口の明確化に関する目標値を100%とするなど、着実な取組を求めている。

 現在、ケアラーの支援体制を構築済み、または予定の市町村は20%程度。道では「これまでも通知等で周知してきたが、市町村等への研修会、アドバイザー派遣などの取組や振興局ごとの会議などで一層働きかけるとともに、優れた先行事例を紹介するなど、支援に努める」と話している。

◆鍵はコーディネーター 地学協働

 地域と学校がパートナーとして連携・協働し、子どもの学びや成長を支える地学協働。「生徒が明るく積極的になった」「地域に愛着を持つようになった」など、実践校はその教育効果の大きさを口にする。

 道教委の地学協働活動推進実証事業(北海道CLASSプロジェクト)が2年目を迎え、各校の活動が本格化。成果や課題も見え始めた。

 成果の鍵を握るのは「地域コーディネーター」の存在。地域事情に精通した人材が学校と地域をつなぐ“架け橋”となり、幅広い人脈を生かして地域住民から協力を取り付ける。普通高校は、これまで地域との接点が少なかったため「コーディネーターがいたからこそ地学協働が実現した」と感謝を惜しまない。

 そうして実現した地域課題探究活動が、「生徒がこんなに変わるのか」と教師を驚かせていることが多数報告されている。

 「生徒が明るく積極的になった」「やりたいことを提案してくるようになった」「地域に愛着を持つようになった」など各校はその効果の大きさを口にし「教室での勉強にはない学びと達成感がある」「地域住民と触れ合い認められる経験が地域愛や自己有用感を高め、生徒を大きく変容させる」と分析している。

 また、それぞれの地域コーディネーターが持つ人脈や知見は教員にとって新鮮なものも多く、学校にはない視点で新しい風を吹き込み、学校改革の推進に一石を投じる面もある。

 ただ、道立高校における地域コーディネーターの配置校は10数校にとどまっており、一層の拡大が望まれるところ。

 道教委では「地域コーディネーターが絶大な役割を果たしているのは明らかで、少しでも配置の促進に努めたい」と話している。

(道・道教委 2022-12-12付)

その他の記事( 道・道教委)

健康教育推進へ 道教委指定 リーダー養護教諭が発表 虫歯や心の健康など4校種

健康教育推進リーダー研修会  道教委は9日、健康教育推進研修会を札幌市内の道自治労会館で開催した。本年度から各校種で新たに指定した健康教育推進リーダー4人が本道の子どもたちの健康課題を踏まえた実践研究を発表。教室の換気...

(2022-12-13)  全て読む

道教委 高校教育課程研究協議会 学校全体で探究的学びを 学習評価の改善・充実へ290人

 道教委は8日、高校教育課程研究協議会を開催した。京都大学大学院教育学研究科の西岡加名恵教授が「資質・能力を育成するパフォーマンス評価~教科における観点別評価にどう取り組むか」と題して講演し...

(2022-12-13)  全て読む

高校づくり指針意見聞く会〈宗谷〉 自治体の将来見据えて CS導入へ地学協働発信を

高校づくり指針の意見を聞く会(宗谷)  【稚内発】道教委は11月下旬、「これからの高校づくりに関する指針」改定版素案に係る意見を聞く会(宗谷管内)をオンライン開催した=写真=。出席した管内市町村教委の教育長などからは、地域の実情...

(2022-12-12)  全て読む

道教委 学校徴収金実態調査 市町村から端末支援 48校 教材費など費用負担減少

 道教委がまとめた道立高校における学校徴収金の4年度実態調査によると、学校徴収金の平均額は16万2016円で前年度と比べ249円減少していることが分かった。増額した学校は全体の49%で、道教...

(2022-12-12)  全て読む

道教委 中学校授業実践セミナー ICT活用し課題解決 北広島西部中 保体授業公開等

中学校授業実践セミナー  道教委は11月下旬、北広島市立西部中学校(小森享校長)で中学校授業実践セミナーを実施した。空知、石狩、後志管内の中学校教諭25人が参加。授業や研究協議、ワークショップを通じて、実践的な研修...

(2022-12-12)  全て読む

T―base技術者が授業 熊本城復旧工事を学ぶ 上ノ国高、標津高 防災理解深め

T-base外部講師遠隔授業 道高校遠隔授業配信センター(T―base、元紺谷尊広センター長)は2日、(株)大林組札幌支店の青田晴氏による外部講師遠隔授業を上ノ国高校(佐々木雅康校長)と標津高校(渡辺幹夫校長)の生徒に...

(2022-12-12)  全て読む

全道高校教育改善研 道教委所管事項〈上〉 基本的考え方近く周知 高校の日本語指導開始へ

 道教委は、第2回全道高校教育改善研究協議会(5日、オンライン開催)で各課所管事項を説明した。来年度から高校で特別の教育課程による日本語指導が可能となることから、近日中に基本的な考え方を策定...

(2022-12-09)  全て読む

5年度予算概算要求基本方針 知事選控え骨格編成 基本経費や感染症対策など 道教委

 道教委は7日の教育委員会会議で5年度予算概算要求の基本方針を決定した。4年に1度の知事・道議会議員の改選期を迎えるため骨格予算となることから人件費や庁舎の維持管理などの基本的経費や新型コロ...

(2022-12-09)  全て読む

渡島局 学力向上へ学びのDX事業 上磯高に中高教員派遣 異校種が連携し授業改善

 【函館発】渡島教育局は、ICTを活用した学びのDX事業・渡島版学力向上プロジェクトを立ち上げた。前年度、道教委における同事業の推進校として指定を受けた上磯高校(藤井浩之校長)に、優れた実践...

(2022-12-09)  全て読む

新規学卒者3年以内の離職率 高卒41%、大卒34% 全て微減 短大等は全国下回る

表1  道労働局は、道内の新規学卒者の離職状況を公表した。平成31年3月卒業者が3年以内に離職した割合は、高卒が41・6%、短大等卒が41・5%、大卒が33・9%。いずれも前年より離職率が微減し、...

(2022-12-09)  全て読む