いじめ対応改善へ文科省協議会 学校・警察の連携強化を 相談体制構築など 1月以降周知
(国 2022-12-20付)

 文部科学省のいじめ防止対策協議会は19日、いじめ対応の改善・充実に向けて学校・学校設置者に周知徹底を図る4事項を示した。重大ないじめ事案等の発生時における迅速な相談のほか、日常的な情報共有や相談体制の構築など学校と警察の連携を強化する方針を確認。被害・加害児童生徒の支援や指導の在り方、保護者と共有すべき事項などとともに5年1月以降に学校関係者へ周知できるよう準備を進める。

 国のいじめ防止対策に関する関係府省連絡会議は11月下旬、いじめ防止対策の強化を図る14の検討事項を決定。このうち「早期に対応するべき」とした①犯罪に相当する事案を含むいじめ対応における警察など関係機関との連携強化②被害・加害児童生徒に対する指導・支援の充実③保護者・学校がいじめ防止対策を共有する普及啓発の推進④いじめの重大事態における総合教育会議の活用や首長部局からの支援―の4事項を優先的に審議している。

 警察との連携では、重大ないじめ事案等の発生に当たっては直ちに警察に相談・通報することなどいじめ防止対策推進法に基づく対応をあらためて要請するほか、学校で取り扱いの判断が困難な事態に備えて「警察署等との協定締結による円滑な情報共有の推進」「学校・警察双方における連絡窓口となる担当職員の指定の徹底」など相談や連携の体制を構築する必要性を示した。

 相談または通報する際の判断材料となるよう、学校で起こり得る事案と想定される刑罰法規をまとめた一覧も提示。犯罪行為に該当しなくとも重大な被害に発展する可能性があることから、警察による注意・説諭にも期待する。

 被害児童生徒に対する支援の充実とともに加害児童生徒への指導についても記載。加害児童生徒には適切なアセスメントを行い自らの行為を反省させることや、背景に虐待、貧困、家庭内不和などがあればスクールソーシャルワーカー等を活用し適切に支援することを求める。

 保護者に対しては、学校いじめ防止基本方針やいじめ発見時の連絡窓口を周知。犯罪に相当し得るいじめに関しては警察に相談する可能性があることを説明するとした。

 いじめの重大事態が生じた場合は速やかに総合教育会議を開催し、教育委員会と自治体の長が連携して対応することとし、時間を要する場合は支援・協力を求め迅速な調査組織の設置や調査の開始に努める。

 一方、小規模の自治体や学校法人では調査委員の人材確保が困難であることから、都道府県教委で必要な支援体制を構築する必要性を示した。

 次回会議での審議を踏まえ1月以降に周知する予定。重大事態の調査開始までの迅速な処理や専門家による助言方法についても検討を開始する。

(国 2022-12-20付)

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