スポーツ庁4年度体力調査 小学男女8種目で全国超 肥満傾向や運動不足より顕著に
(国 2022-12-26付)

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4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査・実技調査(クリックすると拡大表示されます)

 スポーツ庁は23日、4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果を公表した。札幌市を含む道内小学生の体力合計点は全国との差を縮め、男子5種目、女子3種目で全国平均を上回った。肥満傾向児の出現率は小中男女いずれも上昇し小学校では男子5人に1人が該当。中学生の運動時間の短さや部活動の所属率の低さ、学習以外のスクリーンタイムの長さなど生活習慣上の課題もあらためて浮き彫りとなった。

 調査は児童生徒の体力・運動能力や運動習慣の向上に関する施策の成果と課題を検証し、改善を図るもの。対象は小学校5年生と中学校2年生。調査期間は4~7月。

 全国平均を上回った実技調査の種目は小学校男子が握力、長座体前屈、反復横跳び、立ち幅跳び、ソフトボール投げの5種目、女子が握力、反復横跳び、ソフトボール投げの3種目。握力、長座体前屈、立ち幅跳び、シャトルランの数値はいずれも上昇した。平成20年度の調査開始から常に全国を上回っている握力はさらに差を広げた。

 各種目の得点を合計した体力合計点(80点満点)は小中男女いずれも全国平均に届かなかったものの小学校で改善し、中学校で差が拡大。札幌市を除く道内小学校の女子は54・48点で、調査開始から初めて全国平均を上回る結果となった。

 肥満傾向児の出現率はいずれも上昇。小学校の男子が20・1%(全国平均14・5%)、女子が12・5%(同9・8%)、中学校の男子が14・1%(同11・5%)、女子が8・1%(同7・7%)だった。

 児童生徒質問紙調査をみると「運動やスポーツが好き」「運動やスポーツは大切」「体育(保健体育)の授業は楽しい」と回答した割合は小中男女いずれも全国平均より高い。

 一方、1週間の運動時間が1時間未満と回答した割合は中学生の男女で上昇。中学生の部活動やスポーツクラブの所属率は低下し、男子が62・9%(同73・2%)、女子が46・1%(同56・9%)となった。学習以外でパソコンなどの画面を見ている時間は全国平均より長く、朝食の摂取率は全国平均より低い。

 学校質問紙調査では「学校全体で体力向上の目標を設定している」「授業以外で体力・運動能力向上の取組を行っている」と回答した割合が小・中学校いずれも全国平均を大幅に上回った。

 「授業で児童生徒同士で助け合ったり、役割を果たしたりする活動を取り入れている」の回答は全国平均より低く、道教委は協働的な学びの充実に向けた授業改善を一層進める必要があるとしている。

 道教委は今後、調査結果の詳細な分析を行うとともに、5年3月に各管内や同意市町村の結果、体力向上の効果的な取組をまとめた報告書を作成する予定。

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4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査・児童生徒・学校質問紙調査(クリックすると拡大表示されます)

(国 2022-12-26付)

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