【解説】いじめ防止へ部局連携なるか
(解説 2023-01-13付)

 地教行法では、自治体の長と教育委員会の協議・調整の場となる総合教育会議における協議事項に「児童、生徒等の生命または身体に現に被害が生じ、または被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置」を規定している。

 いじめ重大事態の発生件数は平成25年度の179件から令和3年度の705件と増加傾向にある。一方、重大事態における総合教育会議の2年度の活用状況は、都道府県・指定都市で4自治体、市町村で68自治体にとどまっている。

 いじめを政府全体の問題として捉え直すため、政府は昨年11月にいじめ防止対策に関する関係府省連絡会議を設置。自治体の長と教育委員会の十分な意思疎通や重大事態における関係部局との連携強化の重要性を踏まえ、いじめ防止対策の強化を図る14の検討事項の一つに「総合教育会議の活用や首長部局による支援」を盛り込んだ。現在文部科学省が設置するいじめ防止対策協議会で具体的な議論が行われており、年度内に学校現場に周知できるよう準備を進めている。

 審議内容をみると、いじめ重大事態発生時における総合教育会議の迅速な開催や学校設置者の調査支援、自治体・教育委員会の協議体としての実質的な機能化の重要性を周知する見通し。重大事態の協議・調整に限らず児童生徒の問題行動・不登校調査を議題として扱い認識の共有化を図る有効性も指摘している。

 文科省とこども家庭庁は5年度予算案において、いじめ防止対策関係予算として80億円を計上。文科省は教育委員会・学校を通じた対策の一層の充実を、こども家庭庁は学校外からいじめ解消を図る手法を新たに開発・実証するなど対策を講じ、社会全体でいじめ防止対策を一体的に推進するとしている。

(解説 2023-01-13付)

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