【解説】父親育児 心の不調リスク減に
(解説 2023-01-19付)

 乳児期における父親の育児への関わりが多いことが、子ども16歳時点でのメンタルヘルスの不調を予防する可能性があることが、国立成育医療研究センターによる分析で明らかになった。

 思春期の子どものメンタルヘルスの問題は、先進諸国に共通する大きな課題になっている。日本においても、コロナ禍における子どものメンタルヘルスの不調が懸念され、同センターが3年12月に実施した調査によると、小学5・6年生の9~13%、中学生の13~22%に、中等度以上の抑うつ症状が見られた。これらを踏まえ同センターでは、乳児期における父親の育児への関わりが子ども16歳時点でのメンタルヘルスの不調とどのように関連しているのかを分析した。

 分析には、厚生労働省・文部科学省が実施している21世紀出生児縦断調査の平成13年のコホート(母集団)を用いた。

 対象は、13年に生まれた日本全国の1万8510人の子どもがいる世帯。「おむつを取り換える」「入浴させる」等の父親の育児への関わりの程度を最も少ない群から多い群まで4群に分けて、各群における16歳時点での子どものメンタルヘルスの状況を比較した。

 分析の結果、最も関わりが少ない群と比較して、最も多い群でメンタルヘルスの不調のリスクが10%降下。「乳児期における父親の積極的な育児への関わりが、子どもが16歳時点でのメンタルヘルスの不調のリスクを減らす可能性がある」と示唆している。

 性別役割分業が一般的だった日本でも、父親の育児休業取得推進の義務化など父親が積極的に育児に関わることが推奨される社会になりつつあることを指摘。そうした日本社会の変化が子どもの成長にとって好ましい影響をもたらす可能性を示唆している。

(解説 2023-01-19付)

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