札幌市立高特事務職員会研究大会研究発表概要② 組織的・継続的な確認を 札幌北翔支援・温泉永一氏(札幌市 2023-01-26付)
研究発表Ⅰ
▼研究テーマ=法令順守について
▼発表者=市立札幌北翔支援学校事務長・温泉永一
▼不法就労助長罪について
法律の無知や錯誤は罰則を免れない。「出入国管理及び難民認定法」(入管法)に規定されているこの法律も過失がない場合を除き、罰則を免れることはない。
日本でも外国人労働者が多く雇用されるようになり、不法就労する外国人も増えてきた。それに伴い不法就労者本人だけではなく、雇用者等を罰する不法就労助長罪が規定されるようになった。
道内だけでもこれに関わるニュース記事をよく見かけるようになり、あらためて注意しなければいけない問題になった。
学校でも技能実習生や留学生が許可された時間数を超えて働く場合、語学の教員として働くことを認められた先生が工場等の単純労働者として働く場合、在留期限が切れているのに更新せずに働く場合等がある。
実際、元年度に旭川の日本語学校に通う留学生に対し、入管法で認められた週28時間の就労を超えてアルバイトをあっせんし、校内で直接現金で給与を渡すなどしていた学校関係者が不法就労助長罪で逮捕されている。
もし私たちの働く学校で、不法就労が行われた場合、任命権者や事業所長等は、不法就労助長罪に問われることになるが、業務の関わり方によっては一般職員である事務職員も同じく罪に問われる場合がある。
また、不法就労している業者に発注をしている場合なども不法就労助長罪に問われる可能性があるため、発注先の業者が外国人であった場合には、注意を払う必要性がある。
▼対策として
これらを未然に防ぐためには、在留カードの確認が重要になる。在留カードは平成24(2012)年7月に外国人登録証明書制度から切り替えられた比較的新しい在留管理制度なので、法律を学ばれていた経験のある方でも、知らない方もいると思う。
また、もし在留カードの存在を知っていたとしても、重要なものであるとの認識が欠如しているかも知れない。在留カードの確認ポイントは有効期限、在留資格等が重要になる。在留カード番号と顔写真の一致も確認が必要になる。在留カードには偽変造防止策も取られているが、偽造された在留カードによる不法入国が行われている実態もある。入国管理局では「在留カード等読取アプリケーション」を無料配布しているので、これを利用し確認することがより良い対策になる。
また、外国人はパスポートも所持しているが、パスポートでは観光目的で入国している外国人と区別がつかないので、就労する際には在留カードの確認が必要になる。もし、私たちの勤める学校で不法就労が疑われる職員が出た場合の想定で、捜査を受けた際に提出を求められる資料だが、職員が採用時に配布する書類提出する書類全てと考えられる。
具体的には「辞令写」「住居届」「通勤届」「口座振込用紙」「マイナンバーカードの写」「扶養控除等異動申告書」「校内分掌一覧」「校内組織図」など、事務職員が関わる書類も多くあると考えられる。
よって、事務職員も関係職員として事情聴取を受ける可能性がある。事情聴取を受けることになった際には、事実を語ることが最良の対策になると聞いたことがあるが、そもそも未然に防ぐことが大切である。
そのためには、在留資格および就労制限については、必ず事前に確認するだけではなく、担当者個人ではなく組織的に継続的に確認することが大切である。
(札幌市 2023-01-26付)
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