札幌市内小学校のクラス替え 複数校で在り方が変化 2年生進級時や毎年度導入も(札幌市 2023-02-09付)
進級時、ワクワクドキドキしながら掲示板を眺めたクラス替え。札幌市内の小学校では近年、2年に1度が定番だったクラス替えの在り方が変わりつつある。新年度、複数の学校で3、5年生への進級時に加えて、2年生進級時にも導入する。また、全学年で取り入れることを決めた学校も複数ある。既に同様の措置を講じた学校も増えており、児童の実態や学校を取り巻く環境に応じた柔軟な対応が見られる。
学級編制、いわゆるクラス替えは、児童生徒同士の交友関係拡大やリセット、成績の均衡、リーダーシップを発揮できる子の配置など、様々な理由で実施されているが、どのタイミングで実施するかを定めた法令はない。道内の小学校ではこれまで、3、5年生への進級時の概ね2年に1度が定着していた。
ここ数年、札幌市内の小学校では、クラス替えの在り方が多様化している。中央区内のある小学校では、新年度から従来の奇数学年に加えて、2年生への進級時にもクラス替えをする方針を固めた。豊平区内でも同様の取組を始める小学校が見られる。
新1年生の学級編制は通常、幼稚園や保育園からの引き継ぎや、1日体験入学などでの児童の様子を参考に決定している。しかし、幼稚園や保育園よりも集団が大きくなる小学校では、多様な個性を持つ児童が集まることで、学力面や運動面など様々な場面で学級差が顕著になる傾向にある。
さらに、近年はコロナ禍で入学前の面談が開催できなかったり、1日入学で保護者のみが来校したりするなど、教員の目で事前に確認する機会が減っている。
ある管理職は、幼保小連携による情報共有の成果を高く評価する一方で「実際に児童たちをみると、想定外の部分でつまずくことがある」と明かす。別の管理職も「1年生段階で児童たちの姿を確認するとともに、学校に慣れてもらうことが大切」と話す。
一方、新年度から全学年でクラス替えを導入する学校も複数見られる。
幌西小学校(村上智樹校長)もその一つ。本年度は新2、3、4、5年生でクラス替え。新年度からの導入へ2ヵ年で準備を進めた。
導入に踏み切った背景の一つに、地域性がある。同校は、全校児童約900人、1学年当たり4、5学級の大規模校。毎年、全学年で数十人の児童が転編入する、いわゆる転勤族の家庭が多い。毎年度クラス替えを行うことで人間関係の硬化を回避し、転入生がなじみやすくするねらいがある。
また、教職員の異動状況によっては、2年間の持ち上がりにならないケースも散見される。国の35人学級の段階的な導入によって、今後、毎年度クラス替えを経験する学年も予想されることも要因だという。
クラス替えの変更を伝えた3年度の説明会では保護者から概ね好評で、理解を示す声が多かったという。教員や保護者にある「5、6年生は(担任や学級が)持ち上がることが当たり前」という意識が変わりつつあることも、スムーズな決定につながっている。
毎年のクラス替えは、全学年で引き継ぎ業務が発生するなど、教員の負担が増す懸念もある。村上校長は「児童も教職員も単年度とすることで様々な友達や先生と出会い、社会性を育むとともに、リフレッシュにもなる。双方にとってメリットの方が大きいのでは」と話す。
中央区内をみても、既に複数の学校で毎年度クラス替えを導入。各区でも取り入れている学校が散見される。ある調査によると、毎年クラス替えをしている学校は全国で約6割、2年ごとは約3割だったという。市内においても毎年度のクラス替えが「近い将来、一般化するのでは」と話す声は多い。
(札幌市 2023-02-09付)
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