札幌市立高特事務職員会研究大会研究発表概要⑤ 旭丘高・中辻氏ら3氏 専門性発揮できる環境整備を
(札幌市 2023-02-09付)

研究発表Ⅱ

▼研究テーマ=チーム学校の一員として~札幌市立高校・特別支援学校・中等教育学校事務室のチーム学校への関わり

▼発表者=市立札幌旭丘高校事務長・中辻拓実、市立札幌山の手支援学校・渡邉壇、市立札幌清田高校・田巻友茉

【答申を振り返って(事務職員関係)】

▼事務体制の一層の充実

▽事務職員の職務

 学校において、教員と事務職員が行っている事務は、大まかに以下のように分けられる。

▽主に教員が従事している事務

・児童生徒への指導事務=授業、授業準備、成績処理、生徒指導、部活動学校行事、教育課程の管理

・校務運営に関する事務=学校運営(企画運営)、保護者対応、PTA対応、地域対応教科書給与事務、情報管理、情報発信、助成金・補助金に関する事務

▽事務職員が従事している事務

・総務・財務等に関する事務=予算、決算時の会計管理、施設・設備および教材・物品の管理、給与・旅費の管理、支給事務、就学援助に係る事務、学校徴収金の計画・執行管理、文書の収受・発送、諸手当の認定、福利厚生に関する事務

 事務職員の職務内容は総務、財務に関する事務全般にわたっている。

 すなわち、事務職員は学校組織における唯一の総務財務等の専門職であり、今後、その専門性を生かしながら副校長・教頭と共に校長を学校経営面から補佐する学校運営チームの一員として役割を果たすことが期待される。

 事務職員が専門性を生かすには、職務内容を明確にした「標準職務表」を制定することが必要だが、全国で実際に「標準職務表」(都道府県のモデルを準用しているものを含む)を制定している市区町村は30%程度である。

 なお、札幌市においては、共同実施の完全実施を見据えて2年3月17日付で、札教教第1397号「学校事務職員の標準的な職務内容および校務運営組織図(例)について(通知)」を発出している。

▽教頭・教員との関わり

 平成26年の全国公立学校教頭会の調査によると、小学校・中学校で教頭が行っている業務は「各調査依頼への対応」「保護者・PTAとの連携」「生徒指導上の課題への対応」など多岐にわたっている。

 また「施設・設備」「学校財務・会計処理」といった、総務・財務等に関する業務も担当している。

 しかし、実際には「職場の人間関係づくり」「教職員の評価・育成」「校内研究・研修」等の業務に多くの時間を費やしたいと考えている。

 これらの業務に副校長や教頭が取り組めるようにするためには、副校長や教頭が行っている管理的業務や事務的業務を事務職員が担うことが必要である。

 また、教員についても日常業務において事務的業務が占める割合が多くなっていることから、それらを事務職員が担うことで、教員がより子どもと向き合う仕事に取り組むことが可能になる。

▽カリキュラム・マネジメントとの関わり

 学校におけるカリキュラム・マネジメントにおいても事務職員に期待されることが多くある。

 カリキュラム・マネジメントでは、学校規模、教職員の構成、教員の指導力の程度、教材・教具の整備状況、施設・設備の状況、地域住民との連携・協働の状況といったことを考える必要がある。

 その中で、学校の予算や施設管理等に従事している事務職員は、教育内容と教育活動に必要な人的・物的資源等を組み合わせていくために力を発揮することが期待されている。

▽国や自治体に求められること

 学校事務職員は地方公共団体によって、採用方法や人事異動は様々だが、事務職員が学校運営において専門性を発揮するには、教育委員会は採用段階からの意識付けや、学校事務に携わってこなかった職員を学校に配置する場合は、研修の実施を検討する必要がある。

 国は、事務職員が専門性を生かし学校運営に関わる職員であることを法令上、明確化することや、標準的な職務内容を示すこと、学校の事務体制の充実のために定数措置を検討することが求められる。

(札幌市 2023-02-09付)

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