【解説】不登校対応の科学的診断
(解説 2023-02-16付)

 文部科学省の不登校対策に係る取組状況調査(13日時点、暫定値)によると1人1台端末のアプリ等を活用して早期発見の取組を行っている市町村の割合は22・0%。「今後活用を検討中」が34・6%、「活用していないし検討もしていない」が43・3%となっている。

 利用アプリは「端末のアンケート機能(チームズやグーグルワークスペースなど)」が全体の73・4%を占め、「民間事業者による提供アプリ」「校務支援システムの機能」などと続く。

 14日の不登校に関する調査研究協力者会議では、有識者から不登校や自傷行為を科学的に分析する手法について有識者が説明した。公益社団法人子どもの発達科学研究所は全児童生徒を対象とする「予防」、リスク群を有する生徒への「早期発見・早期支援」、不登校となった児童生徒への「個別支援」の3段階によるRTIモデル(支援介入に対する反応)を提唱し、不登校に関連する因子として、子どもの特性や家庭環境等に起因する「静的リスク」と学校環境や子どもの社会的スキルに起因する「動的リスク」を挙げた。

 ICTを活用した事例では毎日の健康観察をデジタル化することで相談ニーズを把握するアプリ「デイケン」を取り上げ、新規不登校の発生率が低下しているなどのデータも紹介。児童生徒自身が望む教育環境を評価・選択する新たな不登校対応の展望を示し「子の不登校問題という言葉は意味をなさなくなり“子どもと教育のミスマッチ問題”となる時代になる」と述べた。

 このほか、多忙な学校現場を支援する環境整備、「不登校は問題行動」と捉える固定観念からの脱却、前提となる施策実行の予算・人員確保の必要性が指摘された。

(解説 2023-02-16付)

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