【解説】緊急対策を 事故原因報告書(解説 2023-03-10付)
教室の窓から転落するなど小・中学校での死傷事故が相次いでいることを受け、消費者庁の消費者安全調査委員会は、事故原因などを分析した調査報告書を取りまとめた。事故原因の一つとして「実効性のある安全点検が実施されていない」と指摘。同委員会は、同日付で安全点検に関する手法の改善や安全点検に関する担い手の支援、緊急的対策の実施を求める意見書を文部科学省に提出した。
同委員会は、学校の施設・設備に起因した児童生徒等の死亡事故等が相次いでいることを受け、被害の発生、拡大の防止を図るため、主に学校の施設・設備が原因で発生したと考えられる事故等について、公立の小・中学校を中心に調査した。
調査によると、小・中学校の設備が原因の死亡事故は平成24年度以降の10年間で9件発生。窓からの転落が5件、吹き抜けからの転落、ゴールポストの転倒などの事故もあった。死亡事故以外の事故も29年度以降の5年間で103件に上る。
これら事故は「実効性のある安全点検が実施されていないこと」が原因の一つとしてみられ、その理由として「効果的な安全点検の手法が標準化されていない」「担い手の支援が不十分である」の2点を挙げた。
文科省への意見書では、教職員の負担に配慮しつつ、学校に対し、転落の危険のある窓や固定されず積み重ねられたロッカー等の点検を依頼し、その結果について把握、検証するよう要請。点検に当たって、外部人材の活用が可能な場合には、その活用を検討することも依頼する。
7日の記者会見で永岡桂子文部科学大臣は、報告書の意見への対応について「有識者から専門的な知見をいただきながら、教職員の負担を配慮して実効性ある取組を速やかに検討していきたい」と述べた。
(解説 2023-03-10付)
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