【解説】栄養教諭配置 食育指導に効果
(解説 2023-03-14付)

 文部科学省は3年度栄養教諭の実態に関する調査研究報告書を公表した。全国の栄養教諭の配置率は10年前の33・7%から61・0%と大きく上昇。最高は北海道の99・7%、最低は東京都の5・5%と差が大きく、配置率が高い自治体ほど児童生徒への個別指導や保護者対象の食育教室で重要な役割を担っていることが分かった。

 教育委員会における食育推進の体制、栄養教諭の役割や配置状況等を把握し、今後の課題や学校の食育を推進する上で必要な支援を調査することが目的。全国の都道府県・指定都市教委67団体、市区町村教委1721団体から回答を得た。

 多くの自治体が「食に関する指導の全体計画の作成率の向上」「学校長・教職員の食育に対する理解の向上」など栄養教諭配置の成果を実感しており、食育に積極的に取り組む学校の拡大や教職員の連携・協力による推進体制の構築につなげている。

 配置の課題は「配置状況(単独実施校、共同調理場兼務など)による勤務実態の差の大きさ」が83・0%と高いが、配置率81%以上の都道府県・指定都市では「資質・指導力に関する個人差」が72・7%と最も高い。

 半数以上の都道府県が「アレルギーを有する児童生徒への対応によって食に関する指導が十分にできない」ことを課題とし、食の指導と給食管理のバランスを取る困難さを示唆する結果となった。

 支援の充実に向けた課題は「栄養教諭の職務や食育の重要性に対する学校長や教職員の理解向上」が87・2%と最多。

 結果を踏まえ、都道府県教委においては栄養教諭制度の中長期的な配置方針や役割の明確化、市区町村教委においては栄養教諭を中核とした食育推進体制の取組方針の明確化の必要性を示した。

(解説 2023-03-14付)

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