参加・共同の学校づくりを 道高教組23年度運動方針
(関係団体 2023-03-15付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)は4日と5日、ホテルライフォート札幌で第125回定期大会を開催し、2023年度運動方針を決定した。20人以下学級を展望し、少人数学級の早期実現、教職員定数改善計画の策定、給付奨学金や無償教育の前進を目指す運動を推進することなどを確認。教員未配置・教育の完全無償化・高校統廃合・子どもの貧困・BYODによる私費負担増大など、教育に関する諸課題を保護者・地域に広げ、参加と共同の学校づくりを進めることを申し合わせた。

 運動方針の概要はつぎのとおり。

【運動の基調】

▼職場での対話から要求を練り上げ、要求を実現する道筋を明らかにする教職員組合の役割を発揮する

▼今こそ、「教え子を再び戦場に送らない」というスローガンを深く捉え直し、戦争の準備・大軍拡・9条改憲に反対し、憲法をいかした教育・社会の実現を目指す

▼「軍拡よりも教育に予算を」の一致点を職場・地域に広げ、教育予算の大幅増額を実現させる取組を地域との共同で進める

▼教職員の長時間労働を解消し、教職員の専門性が生かされ、ゆとりある学校にするための給特法改正と教職員の大幅増を求める運動を職場・地域で広げる

▼教職員と子ども・青年の人権が保障され、いきいきと過ごせる学校づくりを目指す取組を職場・地域で広げる

▼道高教組の取組をすべての教職員に知らせ、運動への参加を呼びかけて、組織の強化につなげる

【教育】憲法と子どもの権利条約が息づく学校づくり

▼憲法と教育の条理に立脚した教育を実現する取組

▽日本国憲法子どもの権利条約の意義・内容を子ども・教職員・保護者・地域に広げる。個々の生活との接点と日々抱えている課題を大切にし、どの子ども大切にされる教育制度・政策への転換を求める共同の運動を広げる

▽教員免許更新制に代わる新たな研修管理に反対し、教職員の自主的な研修権を守る取組を進める。道教委による教職員への権利侵害と自主的研修・教育活動への不当な管理統制を許さない組織的な取組を進める

▽人格の完成を目指した教育課程づくりを教職員、地域、保護者・教育研究者とともに合意形成を図りながら教育課程づくりを進める。新学習指導要領やICTの活用をはじめとする諸課題や校則問題の学習を学びカフェ、情報交換会、支部教研や地域教研、学校・職場づくり学習会、全道合研などを通して行う

▽教員未配置・教育の完全無償化・高校統廃合・子どもの貧困・BYODによる私費負担増大など教育に関する諸課題を保護者・地域に広げ、参加と共同の学校づくりを進める。自主的な団体と連携し、全道合研をはじめ学習会を計画し、民主的な教育に対する理解を進め、共同の運動を広げる

▽国連障害者権利委員会が日本政府に出した勧告を受け、インクルーシブ教育を実現する取組を進める。インクルーシブ教育を場の統合だけに置き換えず、通常教育も含めてどの子も排除しない教育、一人ひとりの子どもたちが最大限の発達を保障する教育、とおさえ、すべての学びの場の教育の充実のために学習・討議して、認識の共有を進める。

▽発達段階や個々の実態に応じて主権者教育を進める。子どもや保護者との合意形成を図りながら丁寧に行うとともに、教育実践を掘り起こし、教育課程全体へ位置づけされるよう、子どもの意見表明権を大切にして、学校で議論しながら取組を進める

▽教育への不当な介入に反対し、子どもたちの思想・信条の自由、良心の自由などを守るとともに、高校生の政治活動の自由を保障する取組を進める。日の丸・君が代の押し付けを許さず、憲法19条を立脚点に子ども、教職員の内心の自由を守る取組を進める

▼教育条件整備と修学・進路保障を求める取組

▽20人以下学級を展望し、国の責任による少人数学級の早期実現、教職員定数改善計画の策定、給付奨学金や無償教育の前進を目指す運動を推進し、ゆきとどいた教育を求める全国署名はもちろん、えがお署名にも総力をあげて取り組む

▽道教組や民主団体などとの共同を広げ、ゆきとどいた教育、民主的な地方教育行政の実現を求め、地方自治体・議会・教育委員会への要請活動などの働きかけを進める

▽道教委の高校“多様化”、再編・統廃合を許さず、地域の高校を守り育てる運動を進める。道教委の指針に対し、20人以下学級を展望することも含め地域の声を反映させる取組を進める

▽特別支援学校の過大・過密・狭隘化の解消をめざし、保護者、関係団体と共同をひろげ、特別支援学校設置基準が実効性あるものとなるよう運動を進める

▽通級指導教室の設置、特別支援教育担当教員・SSW・SCの配置など、高校における特別なニーズに応えるための条件整備を求める運動を進める

▽高校生・若者の就職を保障し、労働者の雇用と、8時間働けばまともなくらしができる社会の実現を目指してワーク・ルール教育の取組を進める

【労働】賃金・労働条件改善を求めて

▼時間過密労働を是正し、教職員のいのちと健康を守る取組

▽すべての職場で、管理職も含めた全教職員の協力のもと、長時間過密労働の解消を課題として取り組む

・全教「教職員勤務実態調査2022」の結果や統一職場要求書をもとに、超勤解消に向け校長交渉・話し合いを行う

・給特法・条例の矛盾や問題点および全教の給特法改正要求について学習を進める。学校の長時間過密労働を解消するため、全教「教職員勤務実態調査2022」の結果を踏まえ、多くの教育関係者、民主団体や共闘組織、保護者・地域と連帯し、給特法改正と教職員の大幅増員を実現させる大運動を進める

・職場における勤務時間の客観的把握が使用者の責任により労働者保護の観点から適正に行われること、持ち帰り勤務や休憩時間中の勤務も含めた正確な勤務実態を記録・可視化するよう取り組む

・これまでの勤務実態の弊害や課題を出し合い、長時間過密労働解消のための合意づくりを進める。報告書等の簡略化、諸会議の精選と効率化、休憩時間の確保など、不要な仕事は減らし、休みを確保することに取り組む

・地域部活動への移行に向けた動きについて、教職員の負担を軽減する観点と、子どもの文化・スポーツ要求にこたえる観点から議論を深め、交渉・要請などに取り組む。

・36協定締結の意義を職場に広げ、労使対等の原則・民主的な手続きを確保するとともに、職場全体の残業規制に位置づけるなど超勤縮減につなげるよう取り組む

・組合員が積極的に衛生管理者になり、労働安全衛生活動の活性化を進めるとともに、長時間過密労働とハラスメントの根絶を目指して、実効ある取組を追求する

▽引き続き、1年単位の変形労働時間制を学校に導入させないため、管理職も含めた職場内での対話を重視しながら、教職員定数改善、持ち時間数の上限設定、少人数学級推進など抜本的対策を対峙させてたたかう

▽学校における新たな感染症拡大を防ぐため、職場からの要求にもとづき労働環境の改善と教職員の働き方改善を求める取組を強化する。とりわけ、感染症に強い学校づくりに向けた施設・設備の改善、速やかな人的措置や資材配給、教職員の検査体制確立、在宅勤務などの勤務体制の弾力化等を重視して取り組む

▼賃金・労働条件改善を求める取組

▽職場を基礎に地域経済を支える賃金権利闘争を官?共同で進める。道労連や道公務共闘に結集し、最賃アクション・プラン、公共を取り戻すなどの運動に取り組む

▽教職員の専門職性や広域な北海道での勤務実態に見合った賃金・労働条件の改善を求める。実習教員等の2級格付け改悪をはじめとする人事評価制度と賃金・処遇リンクの問題点を明らかにしながら、差別賃金反対・職場に分断を持ち込ませないたたかいを強める

▽雇用と年金の確実な接続を求め、定年引上げの具体化に向け生じる諸課題について、当事者や学校現場の実態・要求をもとに交渉等に取り組む。暫定再任用・定年前再任用短時間勤務職員について、希望者全員の雇用および65歳まで働き続けられる勤務条件の確保や、賃金・諸手当の大幅改善など待遇格差の解消を求める取組を強める

▽臨時・非常勤職員の正規教職員との均等待遇を求めるたたかいを進める。会計年度任用職員の賃金・手当の改善をはじめとする諸課題の解決にむけ取り組む

▽すべての教職員が、仕事と家庭を両立し安心して働き続けられる労働条件の改善を求めて取組を進める

【憲法】憲法改悪を許さず、国民のくらしと平和を守る

▼貧困と格差の拡大、社会保障改悪・泊原発再稼働に反対し安心して暮らせる北海道へ

▽コロナ経営危機に追い打ちをかける急激な円安と物価高騰・インボイス導入による失業・倒産・雇い止め・内定取り消しの救済、非正規差別NG・有期雇用労働者の“無期転換”実現、最低賃金引き上げ・高校生の就職保障を求める運動を道労連や地域労連とともに進める

▽大軍拡の一方での社会保障改悪、農林漁業・中小企業切り捨て、1%の富裕層や大企業のための政治の転換、消費税の減税を求め、失われた30年からの脱出、賃金の上がる日本への転換、地域経済と道民のくらしを守るたたかいを進める▽持続可能な社会をめざし、ひっ迫する地方財政の立て直し、原発マネーに頼らなくとも存続・持続可能な地方創生を進めるため、農林漁業・中小企業などの地域地場経済の安定を求める。「公立・公的病院再編統合」を許さず、教育の機会均等を保障する視点から通学生の足を確保するためにも、地域を切り捨てる「鉄路廃止」に反対する。気候危機により急増する被災地での住民本位の迅速な災害復興を求める

▽泊原発再稼働・核のゴミ処分場設置・幌延町深地層センターでの研究継続決定・大間原発建設・アルプス汚染水海洋放出反対、政府の「原発回帰」を許さず「原発ゼロ社会」実現、再生可能エネルギーへの転換を柱にクリーンで安定した電力供給体制構築を求め、広範な人々との共同を進める▽道内自治体の「子どもの貧困対策」、「ヤングケアラー支援」の拡充・見直しを求める

▼市民と野党との共同・共闘の再構築、平和で安心して暮らせる政治への転換を▽私たち自身が当事者意識を持ち、主権者として声を上げ続けることが重要であることを深く自覚して、自らの要求実現の視点から政治を語り合うことで職場での政治談議のタブー払拭を日常的に目指す

▽組合活動や教職員の政治活動に対する不当な規制に反対し、教職員の政治活動の権利と言論・表現の自由を守るたたかいに全力を挙げる

【組織】仲間づくり

▼組織拡大強化のための新3ヵ年行動計画に基づき、「仲間づくり」の次なる飛躍を生み出す

▽新3ヵ年計画最終年を迎え、支部・分会マップづくりを具体化し、次期大会までに組合員現勢の回復を目指す

▽組織化の学習など計画的に行い、組織化、分会オルグを担う組合員を増やす

▽全教総合共済加入者の早期現勢回復、自動車保険の加入者純増を目標にすべての支部・分会、専門部で新加入者を迎えることを目指す

▽引き続き持続可能な組織、運動の在り方について議論を進めるとともに、支部・専門部の体制強化、全教北海道(仮称)への結集に向けての議論を組織財政検討委員会等で計画的に進める

▼コロナ禍の中での学習、交流の場づくりの工夫、年間を通した新採用・期限付総当たりの追求

▽3~5月を春の集中月間とし、各支部で高教組歓迎会を開催し、その取組をはるがく、新歓学習会の参加組織へとつなげる

▽加入グッズを活用し、積極的な加入の訴えに取組、総あたりキャンペーンは、年間を通して取り組む

▼つながる、配る、声をあげる活動を通して、高教組の見える化を広げる

▽組合員同士の日常的な声かけ、つながり合いを大切にし、困っている仲間を助けあう分会づくりを目指す。また、分会会議の定例化や本部からの発送物の共有化などで、組合員間の情報共有と、取組に対する意思統一を図る

▽職場での職場新聞、組合掲示板の活用、高教組情報・速報・支部ニュース・職場討議資料・SNS・ホームページ・メーリングリスト等による情報共有など、道高教組の取組や考え方を未組織者に大きく広げ、高教組活動の見える化に取り組む

▽高教組メールマガジン登録者を増やし、全ての組合員が最新情報を入手できるようにする

▽アンケートや対話の取組を通して、職場の教職員の要求を束ね、職場要求書提出に取組、校長との交渉・懇談を通して、要求の前進を図る

▼連帯と助け合いの職場づくりにむけて

▽政策的に職場の分断が持ち込まれている教育現場において、職場でのコミュニケーションを深めることが求められる。悩みや不安を率直に語り合える民主的な職場づくりに努める

▽民主的な学校運営、創意あふれる教育活動を進めるために、教職員間の日常的で率直な意見交換はもちろん、管理職との対話も重視し、集団的な議論に基づく合意形成に努める

▽職場学習会、歓送迎会、レクリエーションなど、全ての教職員を対象とする多様な集まる場を追求する

(関係団体 2023-03-15付)

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