【解説】教科書検定　デジタル対応鮮明に

（解説 2023-03-30付）

　文部科学省は２８日、６年度から使用される教科書の検定結果を公表した。小学校では、合格した１１教科１４９点全てに、動画や音声などにアクセスできる２次元バーコードが掲載された。１人１台端末を活用した学習への対応が鮮明となった。

　今回の検定では、小学校が１１教科１４９点、高校が主として高学年用の８教科７８点を受理。小学校は全て、高校は７６点が合格した。

　小学校教科書全てに２次元バーコードが掲載された背景には、ＧＩＧＡスクール構想による１人１台端末の配備や、文科省が６年度から５・６年生英語でデジタル教科書の先行導入を打ち出していることがある。授業で既に理科の実験方法や算数の立体図形などの指導で動画を活用する場面が散見されており、端末を活用した学習の幅が広がることが期待される。

　一方で、接続先となるデジタル教材は補助教材のため、検定の対象外。デジタル化による子どもの学びの変容や、視力低下など健康面での懸念も含め、学校現場では今後、活用の頻度や場面に十分に配慮する必要があると言える。

　今回の検定では、学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」への対応も顕著になった。大半の教科書に、児童自身が課題を解決していこうとする態度や、他者と協働し学び合う姿勢、理解力や思考力を高める工夫を凝らした内容が盛り込まれた。一部には、あえて不正解な意見を掲載し、児童たちに考えさせる場面を持たせようとした教科もあり、教科書会社の試行錯誤が見て取れる。

　また、性的少数者に配慮したイラストや差別防止に向けた記述、ＳＮＳ依存の危険性など情報モラル教育の充実に資する内容、コロナ禍による社会や日常生活、領土問題などを盛り込んだ記載も見られた。

(解説 2023-03-30付)