【解説】重大事態調査項目を標準化
(解説 2023-03-27付)

 文部科学省が設置するいじめ防止対策協議会は23日の会議で、新年度から情報の集約化を開始するいじめ重大事態調査の今後の在り方について議論した。効果的ないじめ未然防止対策につなげるため一定程度の情報の共通性を確保する必要があることから、国において標準的な調査項目や調査すべき内容を示すことを論点として示した。

 国は4月以降、学校設置者にいじめ重大事態調査の報告書の提出を求め、文科省とこども家庭庁が情報を共有して事案の収集・分析を開始する。重大事態に至るケースに共通する要素(いじめの背景・原因、学校等の対応における課題点等)を把握することで、対処の改善・強化、未然防止策の構築を図る考えだ。

 加えて文科省では重大事態の運用を助言するいじめ・自殺等対策専門官を増員配置。こども家庭庁に配置するいじめ調査アドバイザーが職能団体と連携して人材を紹介し、調査の第三者性確保について助言するとしている。

 一方、いじめ重大事態調査の詳細についてはこれまで定められておらず、膨大な項目を調査している事例、自殺の動機といじめの因果関係の証明を行っている事例など学校設置者によって調査に過度な負担を強いている課題があった。また、対応経験の少ない自治体では調査組織の設立の遅れや調査の長期化につながる懸念もある。

 このため、当該いじめ事案への対処と再発防止策の検討を行う重大事態調査の本来の目的を踏まえた上で、国において一定程度の標準的な調査項目や調査すべき具体的な内容を示す。さらに、重大事態調査の経験が少ない学校設置者のために必要な対応、ノウハウ、留意点を示すほか、第三者性を確保した調査委員の人選に関する仕組みの構築について検討を進める。

(解説 2023-03-27付)

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