長時間労働解消へ取組 道教組 第36回定期大会
(関係団体 2023-03-31付)

道教組・定期大会

 道教組(中村哲也執行委員長)は4~5日、道高校教職員センターで第36回定期大会を開いた。2022年度の運動経過報告を行ったほか、2023年度の運動方針を決定。具体的な運動の進め方として「1年単位の変形労働時間制の導入を許さず、長時間労働を解消して教職員の命と健康を守る取組を進める」「教員不足の解消と臨時教職員問題の改善を目指して取り組む」ことなどを掲げた。

 大会初日には、中村哲也執行委員長があいさつ。物価の高騰によって、子どものいる世帯が大きく影響を受けている状況に触れ「給食の無償化や教育費負担軽減を求める取組は急務である」と強調。「教育無償化など、全ての子どもたちが学び・成長する権利を保障する取組を、保護者・市民と共に進めていこう」と呼びかけた。

 教職員の長時間過密労働問題については「要因の1つになっている部活動についても放置できない状況」とし、給特法を改正し、時間外労働をなくす取組を進める必要性を示した。

 議事に移り、2022年度の運動の経過と総括を行ったあと、2023年度の運動方針を決定。運動の重点には「北海道の子どもたちが学ぶ喜びを教職員が誇りと生きがいをもてる生き生きとした学校職場づくりを目指そう」「父母・住民、教職員・教育関係者が教育の一致点に基づく共同の運動を広げよう」など5点を掲げた。

 具体的な運動の進め方では、“憲法と教育の条理に立脚した教育の実現”を目指すために「子どもたちの命を大切にし、学ぶ喜びを保障する教育・学校づくりの取組」や「新自由主義的教育改革を許さず、すべての子どもの成長・発達を保障する民主教育を目指す取組」を進めることなどを確認した。

 “教職員の生活と権利を守る取組”としては「1年単位の変形労働時間制の導入を許さず、長時間労働を解消して教職員の命と健康を守る取組を進める」「教職員の賃金と労働条件の改善を目指す」「労働安全衛生体制を確立し、“安全・快適・ゆとり”の学校・職場づくりを進める」ことなどを掲げた。

 “民主的人事の実現と教育行政の民主化を目指す取組”には「人事要求の実現と人事交流の実現を目指す」「教員不足の解消と臨時教職員問題の改善を目指して取り組む」ことなどを盛り込んだ。

◆中村執行委員長を再任 2023年度役員改選

 定期大会では役員改選を行い、中村哲也執行委員長、川村安浩書記長らを再任した。

 2023年度の役員はつぎのとおり。=敬称略=

▽執行委員長=中村哲也(幌加内町朱鞠内小)

▽副執行委員長=古川晃男(鶴居村下幌呂小)、椙木康展(千歳市信濃小)、内藤修司(稚内市稚内東小)、杉本浩一(道教組)―新

▽書記長=川村安浩(道教組)

▽書記次長=安里朗(江差町南が丘小)、斎藤鉄也(弟子屈町和琴小)、遠藤玄(宗谷教組)

▽執行委員=鈴木健(釧路市共栄小)、阿部伸郎(七飯町七飯小)、山本民(利尻町沓形小)

▽監査委員=渋谷美和子(苫小牧市青翔中)、池本修(根室市柏陵中)

◆子に必要な学校考えて 中村執行委員長あいさつ

 道教組第36回定期大会における中村哲也執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 今、物価高が子どもたちの暮らしを直撃している。 この春、新年度を迎え子供世帯にはさらに物価高の影響で生活に重くのしかかる。そんな中、北海道各地では給食費の値上げ分を自治体でまかなう。給食費を無償化にするとした自治体も出てきた。

 給食の無償化や教育費負担軽減を求める取組は急務である。私たちの取組である教育無償化など全ての子どもたちが学び・成長する権利を保障する取組を、今こそ保護者・市民と共に進めていこうではないか。

 全教は「教職員勤務実態調査2022」(第1次集計)を1月に発表し、その結果、時間外勤務の合計(1ヵ月)が92時間34分で、10年前と比べて改善されていないことが明らかになった。

 調査には「仕事量が多すぎる(78・7%)」「ストレスを感じる(54・6%)」という切実な声が多く寄せられ、長時間・過密労働・解消には「教職員の数を増やす(89・7%)」が断然トップであることが分かった。

 その改善は、待ったなしであり、文部科学省などでも給特法の改正を議論せざるを得ない状況。道教組と道高教組は、「働き方可視化アクション2022」で学習会や4つのアクションを行った。

 長時間過密労働の要因の一つになっている部活動についても放置できない状況となっている。給特法を改正し、時間外労働をなくす取組を進めよう。

 今、教育DXなどが子どもの教育にどのような影響を及ぼすのか。学びや成長記録等の教育データは人権そのもの。個人情報保護・人権擁護の問題、民間教育産業参入の問題などとともに、教育・授業づくりなどを阻害する危険性も指摘されている。

 研修履歴の管理がICTのもとで進められようとしていることは重大。自主的研修を守り広げる事は教育の自由を守ることであり、自主的な教育課程づくり、学校づくりにもつながるものである。研修は子どもたちの現実に基づく自主的、民主的なものであること、共同な学びを大切にすることが必要ではないか。

 昨年12月には「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂された。その中で、生徒指導の定義は「社会の中で自分らしく生きることができる存在へと児童生徒が自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである」とある。まさに、私たちが大切にしてきたことである。

 生徒指導提要では「子どもの権利条約」や「こども基本法」にも触れられている。ただ、子どもの権利を全面的に保障する立場で書かれたものとはいえない。

 しかし、私たちが運動してきた協働的な学校づくりは、この生徒指導提要を拠り所として、職場で同僚とともに子どもを真ん中にして、子どもを大切にした共同の実践になりうるものである。

 コロナ禍で、あらためて分かったことは、学校や教育の在り方は、子どもと子ども、先生と子どもたちが一緒に学び合うこと。しかし、上からの緊急事態宣言で、余儀なく制限のある行動になったことで、私たち学校や教職員は、上からの統制の無批判に、慣れてしまってはいないか。

 アフターコロナを迎える今、子どもたちにどんな学校が必要なのか、子どもの成長・発達のために何が必要なのかを、私たち自身で捉え直して、共同で推し進める視点と方針を持って進んでいかなければと考える。

 その取組をできるのが道教組。道教組は子どもと教育を学び、生活と権利を学び、そこから運動を起こすことができる組合。学ぶ組合だからこそ未来に展望を持ち方針を立てられる。

 教職員の要求を束ね、運動する楽しい組合を大いに見せようではないか。

 同時に、組合に加入することは教職員の権利。全ての教職員に組合に入ってほしいと、正面から呼びかけていこう。

 息苦しい学校では、感受性は1人では守れない。私は全ての皆さんに自分の感受性を、教職員としての尊厳を、守るためにも組合に入ってほしいと訴える。

 1人の苦悩や要求は決して個別のものではない。教育者として、真理を語り、誇りを持って仕事をするために、また働き続けられる職場にするために、全ての教職員に組合に入らないか、全教共済に入らないかと、気構えずに楽しく声をかけていこう。全教総合共済はこの13年連続で現勢回復し続けている。本年度は、あと数人に迫っている。

 2日間の豊かな討論を通して運動方針を確立していただくことをお願いし、執行委員会代表してのあいさつとする。

(関係団体 2023-03-31付)

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