【解説】AI活用で指針作成へ 文科省
(解説 2023-04-10付)

 松野博一官房長官は6日の会見で、チャットGPTなど人工知能チャットの学校現場における活用に関して、文部科学省が参考資料を取りまとめる方針を明らかにした。

 チャットGPTは、OpenAI社が昨年11月に公開した人工知能チャットボット。幅広い分野の質問に対する詳細な回答を生成できる一方で、一見自然に見えるが事実と異なる回答を生成することもあると言われている。

 こうしたAIの活用を巡っては、学術論文などを例に、世界中で議論が起きている。イタリアでは、個人情報保護の観点から一時的に国内での使用を禁止。イギリスの科学誌では、AIを論文の共著として認めない方針を示している。

 教育現場でも、リポートや小論文などの評価の際、AIを使わずに児童生徒や学生が作成したものなのかを、教師が判断することが難しくなるとの指摘もある。また、児童生徒の思考力・判断力の育成に支障を来す懸念も聞かれる。

 3月、札幌市内の小学校で行われたチャットGPTを使用した授業。児童はAIの利便性を実感する一方で「AIが導き出した答えが正しいかどうか分からない」などの声が上がった。

 指導した札幌国際大学の安井政樹准教授は、AIによる回答の出典が明らかではないこともあり、児童生徒のみならず、教師も情報活用能力を一層身に付ける必要性を強調する。「使用を禁止するのではなく、使える技術をどう使うことが自分のためになるのかが大切」という。

 松野官房長官は、教育における新たな技術の活用に当たって「メリット、デメリット双方を注視する必要がある」と説明する。科学技術の進展は日進月歩。文科省が取りまとめる注意点や有効な活用方法に注目する必要がある。

(解説 2023-04-10付)

その他の記事( 解説)

【解説】コロナ出停短縮へ意見公募

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられることを見据え、文部科学省は関係省令を改正するパブリックコメントを22日まで募集している。学校で予防すべき感染症として...

(2023-04-18)  全て読む

【解説】教員の処遇改善へ論点案

 文部科学省は13日に「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」第4回会議を開き、教員の給与の在り方や処遇改善に関する論点整理案を示した。春に速報値...

(2023-04-17)  全て読む

【解説】薬物乱用少年1・8倍に

 道警は令和4年中における少年非行等の概況をまとめた。道内の非行少年数は前年比68人増の1054人で2年連続の増加。窃盗犯、粗暴犯、凶悪犯いずれも増加しており、大麻などの薬物乱用は26人から...

(2023-04-14)  全て読む

【解説】定年延長に対する全国の対応

 定年引き上げの経過措置によって隔年で退職者数が変動する中、3分の2の都道府県教委が6年度の新規採用教員の平準化を図る見通しであることが全国都道府県教育長協議会の調査で分かった。60歳以降の...

(2023-04-13)  全て読む

【解説】学校施設ZEB化へ報告書

 脱炭素化の推進が大きな課題となる中、文部科学省は学校施設のZEB化実現に向けた手法や推進方策をまとめた「2050年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のZEB化の推進について」を公表...

(2023-04-12)  全て読む

【解説】災害時手引き 3割未作成

 愛知県の6市に所在する放課後児童クラブにおいて、約3割で災害等対策マニュアルが未作成だったことが、総務省の放課後児童クラブの安全対策等に関する調査で明らかになった。  調査は、災害や事故...

(2023-04-07)  全て読む

【解説】多子世帯等に修学支援拡大

 文部科学省は6年度実施予定の奨学金制度における年収上限・支援水準の詳細を明らかにした。修学支援新制度の対象となる年収上限を従来の380万円から600万円の中間所得層(多子世帯、理学・工学・...

(2023-04-06)  全て読む

【解説】異次元の少子化対策実現へ

 こども家庭庁は「こども・子育て政策の強化について(試案)―次元の異なる少子化対策の実現に向けて」を取りまとめた。日本におけるこども・子育て政策を抜本的に強化し、少子化傾向を反転させるため、...

(2023-04-05)  全て読む

【解説】文科省 不登校対策プラン

 文部科学省は3月31日、不登校対策の今後の取組を整理した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策“COCOLOプラン”」をまとめた。今後、文部科学大臣を本部長とする推進本部を省内...

(2023-04-04)  全て読む

【解説】受講奨励の基本的考え

 教員免許更新制の発展的解消によって5年度から新たな研修制度が開始。各学校において校内研修などで制度の共通理解を図り、校長による教員等への「対話に基づく受講奨励」を行うこととなる。研修履歴の...

(2023-04-03)  全て読む