【解説】学校施設ＺＥＢ化へ報告書

（解説 2023-04-12付）

　脱炭素化の推進が大きな課題となる中、文部科学省は学校施設のＺＥＢ化実現に向けた手法や推進方策をまとめた「２０５０年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のＺＥＢ化の推進について」を公表した。

　ＺＥＢ（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）とは、「日射遮蔽」「自然エネルギーの利用」「高断熱化」「高効率化」によって大幅な省エネルギーを実現した上で太陽光発電などの再生エネルギーを活用し、建物で消費する年間の１次エネルギーの収支（省エネと創エネ）ゼロを目指す建築物のこと。

　国の調査によると、公共施設の約４割を教育施設が占め、公立小・中学校施設の約４割で老朽化が進行。このため学校施設における率先したＺＥＢ化の推進が必要とし、長寿命化改修や空調設備整備に併せた断熱性能の向上、太陽光発電設備設置の重要性を示した。

　その上でＺＥＢ化実現の基本的な考え方や計画的に取組を進める推進イメージを整理。学校設置者における方策として「首長部局との体制構築と目標設定、計画的・効率的な整備」「長寿命化改修を通じた教育環境向上と脱炭素化の総合的な推進」など４点を掲げ、新しい学校施設の在り方への理解度や技術提案によって総合的に設計者を評価・選定する重要性から、高度で専門的な技術が要求される業務で積極的にプロポーザル方式などの導入を検討するよう推奨している。

　国に対する提案として、教育委員会や首長部局における理解促進の働きかけや安定的・継続的な施設整備の予算確保、さらに建築単価の見直しなど財政支援の充実を図るよう求めた。

　一方ＺＥＢ化を実現した学校はわずかであるため、先導的な整備事例や技術的ノウハウの蓄積・発信に努めるよう提案している。

(解説 2023-04-12付)