【解説】若者の半数　希死念慮経験

（解説 2023-04-19付）

　若年層の約２人に１人が死にたいと願い、自殺を考える「希死念慮」の経験があることが、日本財団の第５回自殺意識調査で明らかになった。

　日本財団は、平成２８年から自殺意識について把握するため、計４回の自殺意識調査を行っている。

　今回調査では、第４回調査の結果を受け、若年層に調査対象を限定。若年層の希死念慮の実態と希死念慮に影響のある要因として考えられるものを明らかにするとともに、要因の一つとして考えられる性被害の実態について把握し、実際の支援につなげることをねらった。

　調査期間は、昨年１１月１０～１８日。全国の１８～２９歳の若者１万４０００人を対象に行った。

　調査結果をみると、全体の希死念慮を経験した人の割合は、４４・８％。前回調査の１５～１９歳の「約３人に１人」から「約２人に１人」と増加傾向にある。

　また、自殺未遂・自殺準備の経験がある人の割合は、１９・１％。５人に１人が自殺未遂・自殺準備の経験があり、希死念慮経験者の４割が自殺未遂経験を持つことも分かった。

　性被害経験のある人の希死念慮経験は７６・４％。中でもトランスジェンダー・ノンバイナリーなど性的マイノリティーの人がより多く性被害を受けている。

　希死念慮が生じた際に「誰にも相談しなかった」人の割合は５６・６％。性暴力被害においても３６・８％と高く、日本財団では「各種支援サービスの認知向上や社会全体で支える雰囲気・仕組みづくりの必要性もあらためて浮き彫りになった」などと分析している。

　今後について、同財団では、生きるための包括的な支援を受けられる「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指して取り組んでいく考え。

(解説 2023-04-19付)