【解説】在留邦人の学び保障へ方針
(解説 2023-04-20付)

 主権の及ばない外国で展開されている在留邦人の子どもの教育確保には、日本人学校をはじめとする在外教育施設が大きく貢献している。

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響で現地政府による規制や新規派遣教師の着任の遅延、児童生徒数の急減や授業料収入の減少などの影響が発生しており、昨年6月には在外教育施設における教育の法的位置付けを定める「在外教育施設振興法」が成立した。

 これを受けて文部科学省と外務省は「在外教育施設における教育の振興に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」を策定して18日に公表。内容をみると、在外教育施設の振興の基本的方向として①在留邦人の子の学びの保障②国内同等の学びの環境整備③在外教育施設ならではの教育の充実―の3点を掲げ、今後展開する具体的な施策を示した。

 日本人学校において義務標準法に準じた教員配置を計画的に実現するほか、現職教員を派遣する都道府県教委に支給する委託費の支給率を改善。現地採用教師など多様な人材の活用を促進する方策を示した。

 教職員に対する研修充実に向けては教員養成大学・教職大学院との連携促進を図り、教育経験の国内還元を促進する。また、学校・教育委員会に対する派遣教師の戦略的な配置を促すほか、国家戦略として在外教育施設設立を支援する考えから幼児教育、高校教育、特別支援教育の充実の方策についても検討を進める。

 このほか、在外教育施設同士をつなぐオンラインによるネットワーク構築や海外ならではの教育環境を活用した特色化を推進。帰国した児童生徒が順応できるよう日本語能力に課題を抱える児童生徒への指導充実とともに、多文化・多言語環境における指導経験の活用を進める方針を示した。

(解説 2023-04-20付)

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